外国人観光客を集客するために必要なメディアと施策

新型コロナ対策による入国制限が緩和され、日本には外国人観光客が多く戻ってきています。 訪れた外国人を集客しておもてなしをすることはもちろん、より楽しんでもらうためには、多言語対策など環境整備も同時に考えていく必要があります。 ここでは、外国人観光客を集客するためにはどのようなメディアを利用するのがよいのか、またその他に多言語対策など、集客のためにできる工夫はどのようなものがあるのかをご紹介します。


この記事は約12分で読み終わります。

 

外国人観光客はどこで日本の情報を手に入れる?

外国人観光客は、日本へ観光に訪れるとき、どのようにして情報を収集しているのでしょうか。

情報収集の手段としては、主にインターネットを利用しています。

国土交通省・観光庁「訪日外国人の消費動向・2022年年次報告書」調べによると、具体的には、以下の媒体やサイトが挙がっています。(以下、回答数の多い順)

・動画サイト

・SNS

・個人のブログ

・日本政府観光局ホームページ

・旅行会社のホームページ

・宿泊施設ホームページ

・航空会社ホームページ

特に、動画サイトに関しては、2019年の調査と比較すると結果が2倍近く伸びているので、情報源としてかなり活用されているようです。

インターネット以外では、日本在住の親族・知人、自国の親族・知人、旅行ガイドブック、などが挙げられています。

このように、多くの訪日外国人観光客がインターネットを使用して情報収集を行ってから来日していることがわかります。

目次へ

 

外国人観光客の集客に効果的な方法

外国人観光客の集客を効率良く行うには、多言語対応しやすいWeb媒体の活用が効果的です。ここでは、外国人観光客の注目を集めるためのサイトやブログ、SNSなどの活用方法について見ていきましょう。

自社で運営しているWebサイトでの情報発信

来日外国人を集客するためには、外国人が必要としている基本的な情報を掲載しておかなければいけません。自社で運営するWebサイトであれば、言語も含めて自由に多様化することができます。

基本的な情報として、住所・アクセス方法・営業時間はもちろんですが、ここで大事なことは、サービス内容と価格を詳細に伝えることです。どのようなサービスを行っているのか、それはいくらなのかなど、外国人観光客が知りたい情報は多言語対応しておくことが必要です。また、飲食店であればアレルギー表示、ベジタリアンメニュー、ハラル認証などもユーザーにとってはありがたい情報になります。

メニュー内容などを多言語表記する際は、翻訳を機械だけに頼ってしまうと、訪日外国人にとっては、理解できない表現になっていることがあるので注意が必要です。多言語化したものの、相手が読み取ることができなければ意味がなくなってしまいます。

アクセス方法の記載についても同様で、日本に住んでいる感覚で所在地を伝えても理解することは難しいものです。空港から現地までの距離や、公共交通機関はどのようにして利用するのかなど、日本に住んでいる人には不要だと思われる情報も事細かく知らせてあげると親切です。

加えて、掲載情報が最新であることもポイントです。Webサイトは制作時のままになっていないでしょうか。最終更新日が数年前となると、ユーザーはサービスそのものに不安を感じたりするものです。

更新頻度が高い方がサービスをリアルに感じることができるため、日替わり情報など、こまめに掲載することができるコンテンツを考えてみましょう。

また、有料広告から自社メディアへ誘導するための導線を張っている企業も多くあります。外部からアクセスを行った後、最終地点である自社メディアは、どの角度から見ても整備されていることが集客アップに繋がる条件となります。

WEB上で情報発信をするメディア(一次メディア)への掲載

Web記事などのコンテンツを編集・掲載し、情報を発信するメディアです。例えば、訪日旅行者に向けて日本の情報を発信するWEBマガジン「MATCHA」などの訪日観光メディアを指します。そういったメディアでは、タイアップ記事や広告出稿などのサービスも用意していることが多いです。

一次メディアのよさは、専門のライターなどに臨場感を持って原稿づくりをしてもらえる点です。外国人のライターに体験してもらったことを記事として執筆してもらったり、自社では気づかなかったことや、日本人では思い浮かばなかったネタなど、おもしろく情報発信したりすることができるようになるでしょう。

また、自社メディアだけではユーザーに伝えきれなかったことも、一次メディアに掲載することによってソーシャルネットサービス(SNS)に拡散される可能性が高まり、それだけ認知度が上がることにもつながります。

一次メディアを利用したときに気になるのは、どれだけの人がWebページへアクセスをしてくれたのか、というところ。そのとき、Webメディア自体のページビューを気にしてしまいがちですが、1ページ毎の閲覧数である、コンテンツビューのアクセスも重要になってくるのです。

丁寧に作成したWebページ一つひとつのコンテンツそのものを、多くの人に認知してもらうという考え方です。

旅行関連・宿泊などの予約サイトへの掲載

海外から日本へ旅行をする際も、飛行機のチケットや宿泊先の予約時にはインターネットを使います。サイトによっては、特定の国や言語に特化したサービスがあります。

代表的なものは、Booking.com、Expedia、Agoda、Hotels.comなどです。

宿泊先として施設を登録する場合は、集客したい目的の国や言語に合ったサイトへ登録することで効率がよくなります。
登録自体は無料のところが多いですが、サイト経由で予約が入った場合、手数料がかかるという仕組みになっています。

口コミサイトへの登録

個人が情報を発信できる、ユーザー参加型のメディアが口コミです。旅先でのリアルな感想が載っているもので、代表的なものにはトリップアドバイザーがあります。

トリップアドバイザーは欧米では利用率がとても高く、訪れた観光客が口コミを書いてくれます。施設や店舗を持っている事業者であれば、無料施設登録を行えば、写真の追加や詳細情報の追加が行えます。

その他にも、アメリカを中心に利用者が広がっているYelpや、中国の口コミサイト大衆点評などもあります。

ただし、口コミサイトでは利用者各々が自由に情報発信を行えるため、事業者側で操作することができません。よい評価だけではなく、辛口なものも中にはあるかもしれません。訪日外国人観光客への充実したサービスを提供することが、満足度の高い評価へと繋がっていきます。

 

Googleマップの登録

外国人観光客は、日本滞在中スマートフォンで情報収集をすることが多く、中でも頻繁に閲覧するものの一つがGoogleマップです。

店探しをするときにも参考にされるため、Googleマップ上で表示される店舗の情報は充実させておくことが大切です。

まずはGoogleビジネスプロフィールを登録し、

  • ・営業時間
  • ・住所
  • ・メニュー
  • ・店内や外観、料理の写真

などの情報を掲載します。

口コミを集めるためには、日々の高いサービスを提供していくことが一番効果的です。接客態度や、外国人のお客様へのサポートなど、課題の改善に努めましょう。

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の運用

SNSは無料で使用することができるため、誰でも気軽に口コミや感想を拡散することができるメディアです。

インターネット上の調査では、SNSの使用率が日本では74%、台湾85%、タイ73%、韓国92%、アメリカ73%という数字が出ています。これを見ても、日本同様海外でもSNSを使用率が高いということが分かります。(参考:DataReportal – Global Digital Insights : Local Insights 2023)

SNSでは、コンテンツが流動的で、テキストだけではなく、写真、動画など視覚で楽しめる情報が投稿可能で、旅先での様子をリアルタイムに発信することができます。

また、投稿してくれた方への返信や、予約等のメッセージのやりとりなど、コミュニケーションの一環として利用できることもSNSの特徴です。

前述した通り、誰もが簡単に無料で発信することができるため、世界中で利用率上がってきているSNS。中でもInstagramとFacebookは、国によって若干の違いはありますが、その大半を占めています。次いでTwitter、TikTokとなっています。

なかでもInstagramは、若者や旅行好きな人々にアプローチするには最適なSNSです。ハッシュタグを利用することで、特定のテーマや場所に関心のある人々から見つけてもらいやすくなります。

 

目次へ

 

外国人観光客を集客するための工夫

外国人観光客を集客するために、単純にWeb媒体で広告や記事を掲載するだけでは、他社との差別化ができません。

どのようなポイントを踏まえて発信していくべきなのか、惹く力の強い情報発信の工夫について紹介します。

情報の拡散を狙う

インフルエンサーを介して、観光地などの情報をSNSで発信してもらう方法があります。テレビCMで人気芸能人を起用することもそうですが、YouTubeやInstagramなどで多くのフォロワーを持つ人材の影響力を活用する形です。

フォロワー数が100万人以上いるようなメガインフルエンサーや、数千のフォロワーを持つマイクロ・ナノインフルエンサーなど、規模はさまざまあります。

とくに、特定のジャンルに強いマイクロインフルエンサーやKOL(Key Opinion Leader)の起用は注目されており、観光地だけでなくグルメなどの発信にも効果的です。

また、日本国内でも「インスタ映え」が流行したように、思わずSNSに投稿したくなるようなお店、サービスづくりも重要視されています。

SNSで拡散されることで新規顧客の獲得に繋がるだけでなく、もう一度行きたいと思ってもらえれば、リピーターの獲得も期待できるのではないでしょうか。

日本ならではの体験を提供する

外国人観光客の中には、来日した際に観光だけでなく、日本文化や一般的な日本人の食文化などを体験したいと考えている方も大勢います。

寿司や和食などの世界的に有名な食事だけでなく、たこ焼き・ラーメン・うどんなど、日本人にとっては一般的なものも含まれます。

食文化以外にも、日本の街並みや文化を体験できるツアーなども人気です。浴衣・着物での温泉めぐりや散策、和菓子づくり、伝統工芸体験など、日本でしか体験できないものほど価値があると考えられることが増えてきています。

意外なところでいえば、日本のトイレに感動したという例もあります。ウォシュレットや便座の保温機能、ふたの自動開閉など、日本では身近に目にするものでも、外国人観光客にとっては目新しいものです。他にも、居酒屋で店員を呼び出すボタンがあることに感動する方も多く見かけます。

一方で、国によって趣味嗜好や、日本へ期待している内容が異なることも事実です。どんな層にマッチするのか、どういったアプローチが適しているのかを冷静に分析し、集客を狙う層への的確なアプローチと自社ならではの工夫をすることが大切です。

目次へ

 

インバウンド集客における大きな課題とその解決策

外国人観光客の集客を行う際に課題となるのが、受け入れ体制です。呼び込みに成功し、サービスに満足してもらい、また来たいと感じてもらうためには、環境整備やサービスの向上が重要です。

ここでは、外国人観光客を受け入れる際に考えられる課題とその解決策について紹介していきます。

文化や習慣の違い

外国人観光客と日本人の文化や習慣の違いに対し、配慮が必要になります。日本のマナーを知らずにトラブルを起こしてしまうこともあり、必要な事項は事前に伝えておくなどの工夫が大切です。

注意書きを多言語表記するだけでなく、ピクトグラムやイラストを活用すれば、さらに多くの人にとって理解しやすいものとなるでしょう。

宗教上の風習や、食事・公共交通機関利用のマナー、温泉での入浴マナーなど、日本人にとって当たり前のことでも、外国人観光客にとっては慣れ親しんだものではありません。

過ごしやすい工夫や配慮を行いながら、注意喚起を多言語化して行い、滞在中を快適に過ごせるようにすることが大切です。

キャッシュレス決済

海外では、キャッシュレス決済が主流となっており、観光地での導入も急がれています。QRコードやクレジットカードなどが使用できるように、受け入れ側も体制を整えておく必要があります。

海外ではカード利用による減税措置や、現金支払いの上限金額規制などの取り組みが行われており、対応が間に合っていない場合、収益機会損失にも繋がりかねません。

キャッシュレス決済ができないことを理由に、商品購入や飲食、サービス利用を躊躇するケースもあるためです。

また、キャッシュレス決済であれば海外の通貨を日本円に両替する必要がないため、旅行者側にとってもメリットがあります。

観光庁の訪日外国人観光客への「日本での旅行中に困ったこと」というアンケートによると、約10%の人がクレジットカードの利用とその他決済手段を挙げています。

[参照]国土交通省 観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」結果(2019年度))より

つまり、外国人観光客にとって、キャッシュレス決済の可否は重要視する要素であり、旅行先に求めていることの一つなのです。

キャッシュレス決済の導入により、手持ちの資金を心配せずに買い物などを行ってもらえる仕組みを整えることが重要ではないでしょうか。

決済方法の選択肢を広げることは、ストレスフリーな環境で安心して楽しんでもらえる「土台づくり」だと言えるでしょう。

多言語対応

日本人が海外へ旅行へ行く時と同様に日本での滞在中に、言葉の問題でつまずいてしまう外国人観光客が多く、多言語対応への課題も指摘されています。

メニューやPOPに多言語の表記を載せる、サービスの提供に必要なフレーズを従業員に周知するなどの方法を取り入れる必要があります。
店内の掲示物や従業員のマニュアルなどは、コンテンツ制作会社に依頼をするのもおすすめです。

また、観光地で観光客担当の案内役が必要であれば、通訳案内士を雇うのも手段の一つです。通訳ガイドは歴史や建築など様々な知識に精通している人が多いため、訪れた外国人観光客へ、観光地の魅力を存分に伝えてくれます。

店舗内の案内や説明時には、多言語対応可能な「音声翻訳機」を導入する企業や店舗も増えています。

通訳ツールは小型機器以外にも、スマートフォン・タブレットで使用できるアプリなどもあるため、使用しやすいものを選択して導入してみてはいかがでしょうか。

また、外国人観光客の文化や風習にも詳しい、外国人労働者の雇用もおすすめです。多言語対応の問題が解決するだけでなく、母国の文化にも詳しいため、新たなサービスのアイデア抽出にも活躍が期待されます。

目次へ

 

まとめ

訪日外国人が増えていく中、特に英語・中国語・韓国語の3カ国語においては、日本国内において言語対応をふくめた観光客向けの対応を拡大していくことが課題です。

観光に来る外国人の方が過ごしやすい環境を整えることで、日本の良さをより感じてもらい、SNS上での情報拡散や、それを見聞きしての訪日、日本旅行へのリピートに繋がるのではないでしょうか。

イマジンネクストでは、従業員の研修や、マニュアルの作成等のコンテンツ制作も行っています。インバウンド対策でお悩みなら、ぜひご相談ください。