日本で働く外国人の来日理由は?

コンビニやスーパー、ファーストフード店などの身近なスポットから、食品や機械、自動車工場などの製造現場まで、現在、日本社会のあらゆるところに外国人労働者の姿が見受けられます。 そこで今回は、外国人の雇用を検討している方へ向け、外国人の日本での就労の現状から外国人が日本で働きたいと考える理由、外国人を雇用する方法までを解説していきます。ぜひ今後の参考にしてください。


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日本で働く外国人が増加している

2022年10月現在、日本で働く外国人の数は、厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、182万人超と過去最多となっています。この背景には、国内の労働者不足の解決を図る目的もあり、外国人受け入れの体制が整備されてきていることも関係しています。

2018年11月には外国人労働者の受け入れ拡大に向けた「出入国管理法改正案」が衆議院を通過しました。これまで主に技能実習生らが従事することが多かった単純労働に対しても、新しく「在留資格」を設け、外国人の就労を認める内容となっています。

日本で働く外国人は年々増加傾向にある

外国人労働者数の内訳の詳細を見ていくと、2022年10月末時点での総数は182万2725人で、前年同期比で95,504人増、5.5%の増加となっています。国別では、ベトナム人が最も多く約46万2千人で外国人労働者数全体の25.4%を占めています。次いで中国人の38万5千人(同21.2%)、フィリピン人20万6千人(同11.3%)となっています。前年からの伸び率では、インドネシアが47.5%と大きく、ミャンマー(37.7%)、ネパール(20.3%)と続きます。

在留資格別にみると、永住者や日本人の妻といった「身分に基づく在留資格」が最も多いのですが、次に多いのが「専門的・技術的分野の在留資格」、その次に多いのが「資格外活動」で来日する留学生です。本来、就労が目的ではないのですが、飲食店やコンビニでアルバイトとして働くケースが多く、今や日本社会に欠かせない労働力になっているのです。

条件を満たしているなら就労ビザが取れる

外国人が日本で90日以上の長期滞在をする場合、もしくは日本国内で働くには「就労ビザ」が必要になります。就労ビザは、一定の範囲内の職種、業種、勤務内容に限って取得できます。

現在、就労ビザには、研究、芸術、宗教、報道、経営、法律、医療、教育、技術、興行など、専門分野関連のものを中心に19種類があります。また、「永住者」や「定住者」、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のビザを取得している場合は、就労の制限がないためどんな職業にでも就くことができます。

また、就労ビザ以外のビザで就労をすることは認められていませんが、「留学ビザ」で日本に滞在している外国人は「資格外活動許可」を取得することで、アルバイト等のビザで認められていない活動を週28時間まで行うことができます。

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日本で働く外国人が来日したい理由は?

そもそも日本に来日する外国人が、日本で働きたいと思う理由は何でしょう。もちろん個人個人違いはありますが、大きく分けると、日本への憧れや興味からというものと、お金儲けやキャリアップのためという方向があるようです。詳しく見ていきましょう。

日本で暮らしたいという単純な理由も多い

仕事の内容よりも、海外に出てみたい、興味ある日本で一度働いてみたい、といった興味や関心でで来日する人も案外多いようです。

「興味のある日本で暮らしたい」

単純に海外に行きたい、そして海外であれば前から関心のあった日本で暮らしたい、という理由から来日する人がいるのです。日本文化が好きで日本語を習っていれば、語学を活かした仕事に就きたいと考えたり、いわゆるアキバ文化などに関心を持ったITエンジニアなどでは、日本の技術を学びたいと考える人もいます。

「健康診断や保険制度に魅力を感じる」

意外なところでは、会社に健康診断があることや、整った健康保険などの制度に魅力を感じて日本での就労を希望する人もいます。公的な保険制度がないアメリカなどでは、健診などはあくまで個人の判断で行われ、治療費用もかなりの高額にのぼります。日本では外国人労働者であっても、定められた保険料を支払うことで日本人と同様に健康保険に加入でき、高額な医療費を心配せずに診察や治療を受けることができるのです。

キャリアアップなどの意欲がある外国人も

日本のビジネススタイルに憧れ、自分のスキルを向上させたい。あるいは、自国より高い賃金で稼ぎ、それを元に起業したいといった思いを抱いて日本に来る外国人も多くいます。

「日本の仕事のやり方に共感した、日本で働きたい」

働き方改革が叫ばれる現在の日本ですが、そんな日本人の仕事への真摯な取り組み方や、チーム力を重視した業務の遂行、無駄を極力省いた工場における製造工程など、日本ならではのビジネススタイルに共感し、ぜひ学びたいとの思いで来日する外国人は少なくありません。

「充実のOJTを活用してスキルを向上させたい」

日本は職場におけるOJT(on-the-job training:従業員の教育訓練)が盛んな国であり、そこに惹かれる外国人もいます。一旦入社したからには外国人も日本人と同様、高い技術と知識を早く身につけるべく指導を受けることができます。日本で習得した技能を将来活用したい人にとっては、トレーニングに力を入れている日本企業は魅力的に映っているのです。

「お金を稼いで、自分の目標を達成したい」

日本企業は全体で見れば、給与が上がっていないという現実はあります。しかし、自国と比べれば日本の給与水準は圧倒的に高いという国はアジアを中心にたくさんあります。そんな国の人が日本で働く第一の目的、はやはりお金です。母国の家族を養うためという人や、日本で稼いだ資金を元に日本で飲食店を開いたり、プログラミングやIT関連のスキルを身につけ、母国で起業することを目標に働いている人もいます。

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外国人就労はハローワークや人材派遣会社で申し込み


外国人の求人については、全国のどのハローワークでも申し込むことができます。また、ハローワークには以下のような機関、サービスも用意されていて無料で利用することができます。

●外国人雇用サービスコーナー

日系人をはじめとする外国人求職者のために、全国の主要なハローワークに通訳を配置しています。

●外国人雇用サービスセンター(東京都、愛知県、大阪府、福岡県)

卒業後に日本企業への就職を希望する留学生や、専門的分野への就職を希望する外国人に対する職業相談や紹介、また事業主に対する雇用管理などについての相談を行っています。

●外国人雇用管理アドバイザー

外国人労働者の雇用管理に関する事業主の方の相談を受け付けます。事業所の雇用管理の実態や問題点を分析し、的確で効果的な改善案を提示します。近くのハローワークで申し込めば、訪問日程を調整の上、事業所へアドバイザーを派遣してもらえます。

ハローワーク以外にも、事業にマッチした人材を探すには人材派遣会社もおすすめです。

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まとめ

日本における外国人労働者のニーズは今後も高まるばかりです。制度や来日する彼らの心理もよく理解した上で、自社にマッチした人材の雇用を進めましょう。悩みや不安があるなら、外国人雇用のノウハウに長けた人材派遣会社を利用し、相談するのも一つの方法でしょう。