特定活動の指定書とは何?外国人が就労できる方法は?

人手不足で外国人労働者を雇用したいと考える企業が増えています。日本人の雇用と異なり様々な規制や知っておくべき条件があります。その一つに特定活動の指定書があります。特定活動の指定書とは何か、また外国人が就労できる方法について解説いたします。


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特定活動の指定書とは何?

まずは特定活動の指定書とは何か、さらに特定活動で就労することは可能なのかについてみていきましょう。

在留カードと共に発行される

特定活動の指定書は在留カードと共に発行されます。

外国人の在留資格は仕事のカテゴリーによって20種類以上にも分かれています。これらのいずれにも該当しないものを特定活動といい、法務大臣が個々の外国人に対して指定している特定の活動を指します。

ただし特定活動と一言で表現しても具体的にどのような活動をさすのか、それだけでは判断ができません。実際に特定活動には非常に多くの種類があり、同じ外国人でも内容は実にさまざまです。そこで「この外国人には○○の特定活動を行うことを前提として在留資格を与える」と規定したものが特定活動の指定書なのです。

ただし特定活動には大きく分けて2種類あり、明確に活動内容が指定されている「告示特定活動」と、明確にされていないものがあります。

告示特定活動の中には、「ワーキングホリデー」や「家事使用人」「医療・入院」「スキーインストラクター」など、47種類もの活動内容が認められています。(2023年8月現在)

ちなみに特定活動の指定書による在留資格は最大5年とされています。

指定書はパスポートに添付されていますので、外国人を雇用しようとする際は在留カードと共に、指定書の内容まで確認することが大切です。そしてここに規定されていない活動は行うことが許されていないので、それをさせると違法行為となります。

特定活動で就労は可能なのか?

では特定活動の資格でで就労させることは可能なのでしょうか?

特定活動は基本的には就労を前提としていません。そのため、特定活動の指定書に「就労」できる旨が記載されていないと就労させることはできません。特定活動の在留資格を持っていたとしても、必ず全員が就労できるとは限らないということを知っておきましょう。

たとえば「卒業後就職活動を行う留学生」は資格外活動許可がないと就労させることはできません。許可がないまま就労させると不法就労となりますので注意が必要です。また雇用した企業側も、不法就労助長罪といった罪に問われるリスクがあります。

「ワーキング・ホリデー制度による入国者」による外国人は時間の制限なく自由に就労することが可能です。

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外国人を雇用する際の注意点

続いて外国人を雇用する際の注意点として資格外活動の許可について、また働く時間の制限についても詳しくご紹介します。

資格外活動の許可が必要となる

前述した通り、特定活動の指定書を持っている外国人がみんな就労できるわけではありません。

ご紹介した「卒業後就職活動を行う留学生」などがそれにあたります。彼らは卒業後に就職活動を行うため、「就職活動」を特定活動として在留資格が与えられています。つまり、就労する先を探すためであり、就労することは許可されていません。ただ収入なしに日本で就職活動に長期間従事するのは難しいため、アルバイトなどに応募してくることもあるでしょう。その場合、資格外活動許可申請を法務局に行い、許可をもらう必要があります。

必要となる書類は以下の通りです。

  • ・資格外活動許可申請書
  • ・申請にかかる活動が分かる書類
  • ・在留カード
  • ・パスポートもしくは在留資格証明書
  • ・身分証明書(本人以外が申請をする場合、申請者の身分証明書)

申請は許可をもらう本人以外にも、雇用予定の企業職員などでも行うことができます。最終的な許可をもらうまでの審査期間は2週間から2ヶ月程度かかります。手数料などは不要です。

つまり、アルバイトなどに外国人留学生などが応募してきた場合は、まずは在留カードとパスポートを提示してもらい、在留資格や特定活動の指定書などを確認するようにしてください。その際に就労の可否などについても必ず確認し、必要に応じて資格外活動の許可を申請した上で雇用することが大切です。

これを怠ると不法就労で雇用側が逮捕されたり、処罰される可能性もあったりしますのでくれぐれも注意しましょう。

働く時間にも注意

外国人を雇用する場合、もう1つ注意したいのが働くことができる時間です。少しでも多く収入が欲しい外国人労働者は、何時間でも働けると主張するかもしれませんが制限が設けられていることもあります。

前述したような、ワーキング・ホリデーで特定活動の指定書を持っている外国人に関しては資格外活動の許可も不要であり、労働基準法の範囲内であれば、働く時間にも制限はありません。

しかし外国人留学生が資格外活動の許可を取っている場合は、週に28時間以内と規定されています。また夏休みや冬休みといった長期休暇であっても、1日8時間以内と定められています。これは就労があくまでも本業である勉学を妨げない範囲にとどめることが基本的な考えであるためです。

外国人留学生を雇う場合は、掛け持ちでアルバイトなどをしていないかも必ず確認してください。掛け持ち自体に問題はありませんが、労働時間は複数のバイトに従事した合計時間が週28時間以内である必要があるのです。

つまり、他社で週18時間働いている場合は、別のアルバイト先では週10時間しか働くことはできません。雇用した後も、随時シフトを確認し、週の規定時間が超過していないかを確認することが大切です。

これらの規定を守ることはあくまでも外国人に科せられたものですが、雇用者側が責任を問われることもあります。採用時はもちろんのこと細やかに確認をしておくことをおすすめします。

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外国人就労はハローワークや人材派遣会社で申し込み

外国人の雇用を希望する場合、まず思いつくのはハローワークを利用して申し込む方法でしょう。また外国人雇用に関しては政府による外国人雇用管理アドバイザーなどの支援を受けることも可能です。

ご自身の企業で希望しているスキルをもった外国人を雇用したいといった場合は、人材派遣会社を利用するのもおすすめです。知り合いの紹介といった方法もありますが、スキルが希望に沿っているかどうかまでは判断しづらいもの。その点、グローバルな雇用にも強い人材派遣会社であれば、希望のスキルなどを明確に提示することで欲しい人材とマッチングしてくれるので安心です。

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まとめ

外国人を雇用したい場合は在留カードとパスポートを確認することは基本です。特定活動の指定書を持っている場合は、それだけで就労できるわけではありませんので、就労可否を確認し、必要であれば資格外活動の許可をもらうようにしましょう。正しい手順で進めればスキルの高い外国人を雇用し人材不足を解消することも可能です。