目次
日本で働く外国人が増加している
2024年10月現在、日本で働く外国人の数は、厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、230万人超と過去最多となっています。この背景には、国内の労働者不足の解決を図る目的もあり、外国人受け入れの体制が整備されてきていることも関係しています。
2018年11月には外国人労働者の受け入れ拡大に向けた「出入国管理法改正案」が衆議院を通過しました。これまで主に技能実習生らが従事することが多かった単純労働に対しても、新しく「在留資格」を設け、外国人の就労を認める内容となっています。
日本で働く外国人は年々増加傾向にある
外国人労働者数の内訳の詳細を見ていくと、2024年10月末時点での総数は230万2587人で、前年同期比で253,912人増、12.4%の増加となっています。国別では、ベトナムが最も多く約57万人で外国人労働者数全体の24.8%を占めています。次いで中国の40万8千人(同17.8%)、フィリピン24万5千人(同10.7%)となっています。前年からの伸び率では、ミャンマーが61.0%と大きく、インドネシア(39.5%)、スリランカ(33.7%)と続きます。
在留資格別にみると、「専門的・技術的分野の在留資格」が最も多く71万人、次に多いのが永住者や日本人の妻といった「身分に基づく在留資格」62万人、その次に多いのが「技能実習」で47万人となっています。
[参考]「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)|厚生労働省
条件を満たしているなら就労ビザが取れる
外国人が日本で90日以上の長期滞在をする場合、もしくは日本国内で働くには「就労ビザ」が必要になります。就労ビザは、一定の範囲内の職種、業種、勤務内容に限って取得できます。
現在、就労ビザには、研究、芸術、宗教、報道、経営、法律、医療、教育、技術、興行など、専門分野関連のものを中心に19種類があります。また、「永住者」や「定住者」、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のビザを取得している場合は、就労の制限がないためどんな職業にでも就くことができます。
また、就労ビザ以外のビザで就労をすることは認められていませんが、「留学ビザ」で日本に滞在している外国人は「資格外活動許可」を取得することで、アルバイト等のビザで認められていない活動を週28時間まで行うことができます。
外国人が日本で働く理由は?
そもそも日本に来日する外国人が、日本で働きたいと思う理由は何でしょう。もちろん個人個人違いはありますが、安全で住みやすいという住環境に関する理由が多くを占めています。
日本を選択した理由ランキング(正社員)
パーソル総合研究所の「日本で働く外国人材の就業実態・意識調査」では、外国人材が日本を選んだ理由として、以下の結果が発表されています。
1位 安全性が高いから 36.6%
2位 清潔感があるから 27.4%
3位 生活環境が整っているから(電車、バスなどの公共移動機関、コンビニなど) 24.8%
4位 友人・知人に勧められた/友人・知人が日本にいたから 22.6%
4位 伝統的な文化が魅力的だから 22.6%
6位 日本食が魅力的だから 22.2%
7位 安定して働ける環境があるから 19.6%
8位 住みやすい気候だから 19.2%
9位 レジャー施設やイベントが豊富で楽しめるから 18.4%
10位 先進技術を学べるから 17.6%
[参考] 日本で働く外国人材の就業実態・意識調査 – パーソル総合研究所 (2019年調査)
この他にも、
・自国で働くより給料がいい
・自国の物価が高く暮らしていけないので、日本での就職を考えた
など、さまざまな理由があります。
日本に実際に住んでみて、満足しているか
では実際に日本に住んでみた人たちは、日本での暮らしをどのように感じているのでしょうか。
法務省が2024年に在留外国人を対象に行った調査では、生活環境全般の満足度として、「どちらかといえば満足している」「満足している」と答えた方は併せて88.2%という結果が出ています。
満足している理由として、「居住環境(清潔さ等)がよいから」36.5%、「日本社会の文化や習慣が合うから」18.4%、「治安が良いから」13.8% などが挙がっています。
外国人人材はどのように求職活動を行っている?
では、日本で働きたい外国人は、どのようにして就職先を探しているのでしょうか。
パーソル総合研究所の調査によると、「入社経路・求職活動で利用した媒体」(複数回答)の結果は、以下のようになっています。
<正社員>
- 1位 人材紹介・職業紹介会社 32.8%
- 2位 企業への直接応募 31.6%
- 3位 民間求人情報サイト 29.8%
- 4位 SNS 23.6%
- 5位 友人・知人・家族からの紹介 22.0%
<パート・アルバイト>
- 1位 友人・知人・家族からの紹介 49.6%
- 2位 SNS 26.6%
- 3位 チラシ・ポスターなどの掲示 23.0%
- 4位 企業への直接応募 22.2%
- 5位 民間求人情報サイト 20.8%
[参考] 日本で働く外国人材の就業実態・意識調査 – パーソル総合研究所 (2019年調査)
上記の他にも、外国人の求人は全国のハローワークでも申し込むことができます。また、ハローワークには以下のような機関、サービスも用意されていて無料で利用することができます。
●外国人雇用サービスコーナー
日系人をはじめとする外国人求職者のために、全国の主要なハローワークに通訳を配置しています。
●外国人雇用サービスセンター(東京都、愛知県、大阪府、福岡県)
卒業後に日本企業への就職を希望する留学生や、専門的分野への就職を希望する外国人に対する職業相談や紹介、また事業主に対する雇用管理などについての相談を行っています。
●外国人雇用管理アドバイザー
外国人労働者の雇用管理に関する事業主の方の相談を受け付けます。事業所の雇用管理の実態や問題点を分析し、的確で効果的な改善案を提示します。近くのハローワークで申し込めば、訪問日程を調整の上、事業所へアドバイザーを派遣してもらえます。
まとめ
外国人観光客が増えるとともに、日本の住みやすい住環境に対する認知度が上がり、日本における外国人労働者のニーズは今後も高まるばかりです。制度や来日する彼らの心理もよく理解した上で、自社にマッチした人材の雇用を進めましょう。悩みや不安があるなら、外国人雇用のノウハウに長けた人材派遣会社や紹介会社を利用し、相談するのも一つの方法でしょう。