外国人採用時の必須ルール!観光から就労にビザ切り替えはできない?

日本人の労働人口低下に伴い注目されている外国人労働者。しかし、外国人労働者を雇い入れるためにはさまざまなルールがあります。外国人が日本国内で収入を得るためには、正しい在留資格を得て正しい就労ビザを取得している必要があります。 これらに代表される日本滞在のルールを破ると、その外国人だけでなく雇用主側も3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科せられることになります。 外国人を雇用するにあたり、正しい知識を付けて不法就労を助長しないようにするにはどうすればいいのか見ていきましょう。


この記事は約6分で読み終わります。

 

外国人受け入れビザの基礎知識

外国人を雇用するためには、その外国人が就労するために必要なビザを取得している必要があります。そのために必要な手続きは、その外国人が現状どのようなビザで日本に滞在しているかによって異なります。

ビザとは

外国人が日本へ入国するには、原則として「ビザ(査証)」を持っていることが条件となります。

外務省によると、一部68の国と地域からの訪日客に関してはビザを免除しています。しかし、日本国内で報酬が発生する活動を行う場合、もしくは国ごとに設定された期間を超えて滞在する場合はビザの取得が必要になります。

[参照]外務省 ビザ・日本滞在 ビザ免除国・地域(短期滞在)

ビザの種類

日本に入国するためのビザには、その活動期間や活動内容によって複数の種類があります。まず、外国人が日本国内で観光などを行う目的で滞在する短期滞在ビザ。基本的には90日を超えない期間の滞在で、報酬を得る活動をしない場合に限られます。

そして日本国内で90日を超えて滞在する場合の長期滞在ビザ、報酬を得る活動を行う場合は文化活動として就労ビザが必要になります。

就労ビザを取得するためには、まず入国管理局での審査が必要になります。取得するための条件は、申請人の学歴や職歴、一定の在留資格を満たしているかどうかなどです。

他にも申請人を受け入れる企業に対して、事業は安定しているかどうか、申請人に対して報酬を支払うだけの収益があるかどうか、また申請人を雇用する必要性があるかどうかといった内容などを審査します。

その他には、医療行為の受診を目的とした医療滞在ビザ、外交目的や公用旅券所持者に対する外交ビザがあります。また公用ビザが免除される国も存在します。

[参照]外務省・ビザ

目次へ

 

観光ビザから就労ビザに切り替えはできる?

では外国人を日本国内で採用しようと思った場合、既に持っているビザの切り替えは可能なのでしょうか。

外国人を雇用するためのビザ

外国人を雇用するためには、その人がその仕事をするために必要なビザを持っている必要があります。例えば日本国内に留学していた学生を新卒採用する場合は、留学ビザから就労ビザへの切り替えが必要になります。

内定が出た後で採用された職種に合った在留資格の申請をし、国から正式な許可があって初めて労働が可能になります。なお一般的には企業側がこの手続きを行うことが多いようです。留学生を採用する場合は、その人が留学ビザを取得しているかどうかの確認が必須となります。

他には高度専門職ビザと呼ばれる、国や企業など公私の機関との契約のもとで行う研究などに携わる際に必要なビザや、ある一定の活動のみ許可したり技能実習生として日本に滞在したりする場合に付与される特定ビザなども存在します。

観光のための短期滞在ビザで、雇用はできる?

観光目的で入国していて短期滞在ビザを所持している外国人を採用する場合は一定の手続きを踏む必要があります。しかし短期滞在ビザでは収入を得ることができないため、可能な範囲は採用までとなります。

短期滞在ビザで可能な滞在期間は90日間とされているため、採用が決定したとしても入国から90日以内に手続きを行い就労ビザへ切り替える必要があります。

仮に、手続きが間に合わず就労ビザを取得する前に短期滞在ビザの期間が切れてしまう場合は、一度日本国外へ出て、就労ビザが降りた後に再入国するという手順を踏む必要が出てきます。

万が一、就労ビザが間に合わず短期滞在ビザの期間が過ぎても日本国内にとどまっていた場合は不法滞在となります。

そして、不法滞在者を雇用していた場合、雇用主にも3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられることになるため注意が必要です。

[参照]厚生労働省・不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。

目次へ

 

外国人の就労について

それでは外国人労働者を雇用するためには、ビザ以外にどのような手続きが必要になるのでしょうか。

外国人を雇用するまでの流れ

まずは在留資格を持っているかどうかの確認が必要です。かならず在留カードの有無を確認しましょう。就労ビザを取得しないまま短期滞在ビザの滞在期間を迎えても、これを無視し日本で働いている外国人は多いといいます。

加えて、就労するにあたりその仕事に合った在留資格を得ているかどうかも重要なポイントです。日本での外国人の在留資格は29種類あります。

しかしその中で就労が認められている在留資格は、外交や報道、医療や教育など23種類のみとされています。雇用を考えている外国人の方が間違いなくこれらにあてはまる在留資格を得ているかどうか、しっかりと確認するようにしましょう。

また、厚生労働省が英語や中国語、ベトナム語やポルトガル語などで外国人労働者向けモデル 労働条件通知書をホームページで公開しているため、これを基に雇用契約を交わすと抜け漏れがないため安心です。

そして入国管理局へビザ申請し、許可が下りれば晴れて正式に迎え入れることができます。就労ビザの種類は多く、雇用の内容によって申請する就労ビザは大きく異なります。

申請内容を間違えてしまった場合、不法就労扱いとなりますので十分注意しましょう。

採用前の注意点

外国人を採用・雇用するときには一定の手続きが必要になります。気づかないうちに間違った手順を踏み、知らず知らずのうちに不法就労を助長していた、といったことのないように正しい手続きを行うよう気をつける必要があります。

外国人を雇用する際に決められたルールは、出入国管理及び難民認定法(入管法)という法律で定められているため、最低限の知識を身に付けることも大切です。このルールを破った場合も不法就労となり、雇用主は3年以下の懲役または300万円以下の罰金に科せられます。

また手続きに間違いがないように、外国人労働者を受け入れる際の煩雑な処理を専門業者へ任せるのもひとつの方法です。専門家へ任せることで手続きに抜け漏れがなく、安心して外国人を採用することができます。

目次へ

 

まとめ

日本人の労働人口が低下しているため、期待が高まっている外国人の労働力。その力をかりるためには、受け入れる側が外国人を雇用するために必要なルールを理解していることが重要です。

外国人労働者を採用するにあたり、申請すべきビザは異なり、手続きにも時間がかかります。また、審査の内容は申請者の学歴や職歴、受け入れ企業の収益や業務内容までさまざまです。

短期滞在ビザの満期を迎えても不法滞在を続けている外国人を雇ったり、必要な資格を取得しないまま就労させて不法就労を助長しないよう、プロの力をかりることもひとつの方法です。