外国人研修生を受け入れる企業は知らないと損?補助金・助成金の種類

グローバル化が進展するにつれて、外国人の研修生・技能実習生を受け入れる企業が増えてきています。対して、企業が外国人を受け入れて育成をするにあたり、心配になるのが教育のためのコストです。 そのような事情をサポートするために、外国人の人財を迎える企業に対して、国から補助金や助成金を支給する制度があります。 研修生や技能実習生を受け入れたい場合、どのような資金的な援助が受給できるのか、補助金・助成金の種類を知っておいた方が良いでしょう。具体的な制度から、申請時の注意点までを解説します。


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外国人研修生と技能実習生の違い

外国人の働き方のなかに「外国人研修生」と「技能実習生」という言葉があります。どちらも海外から人財を受け入れる制度ですが、定義は同一ではありません。受給できる補助金・助成金も異なります。

下記では、外国人研修生と技能実習生の特徴を解説します。

外国人研修生とは

在留資格において「研修」というケースで在留する人が「外国人研修生」となります。

「研修」の在留資格が目指すのは、日本の企業で習得した技能や技術、知識を本国に持ち帰って現地の企業へと移転することです。海外に展開する日本企業が、現地法人の従業員を訪日させて社内研修を行う場合にも適応されます。

しかし、研修生は労働者ではないため研修を受けて報酬を得ることは認められていません。研修外の時間や休日に、研修を受けることができないことが特徴です。

また、外国人研修生が受けられる研修は、実務研修を含まず非実務研修のみで行われるもの、と定められています。

[参照]出入国在留管理庁 在留資格「研修」

技能実習生とは

実習生は、正確には技能実習生と称します。現在、技能実習生は約32.7万人です。

[参照]出入国管理庁 令和4年6月末現在における在留外国人数について

1993年に、「海外の現地法人の社員教育をする研修制度が原型として始まった」外国人技能実習制度。以降、技能実習生が受け入れられるようになりました。

厚生労働省の運用要領には、外国人技能実習制度とは、「我が国で開発され培われた技能、技術又は知識の開発途上国 等への移転を図り、その開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを 目的とする制度であり」、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」ことが明記されています。

[参照]厚生労働省 技能実習制度 運用要領

本制度においては、人材不足を解消することを理由に、外国人技能実習生を受け入れることはできません。技能実習生は習熟度によって、第1号から第2号、第3号へと上位の制度に移行することが可能です。

在留資格「研修」と異なるのは、研修実施先である日本企業と雇用契約を結んで、賃金・報酬を受けとることができる点です。労働者として扱われるため、休日や時間外も定められた時間内で働くことができます。

社会保険・労働保険が強制的に適用されることも特徴です。

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外国人を研修・採用した際に申請できる補助金・助成金

ここまで外国人研修生と技能実習生の相違点をご説明しました。外国人を研修・採用した際、資金的な援助を受けることはできるのでしょうか。

研修・人材獲得を目的にした場合と、キャリアアップ・採用活動を目的にした場合、そして労働環境の整備をした場合について、企業が申請できる「補助金・助成金」についてご紹介します。

研修・人材開発が目的

●人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、「雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識及び技能の普及に対して助成する制度」のことです。

[参照]厚生労働省 人材開発支援助成金

特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース、人への投資促進コースが用意されています。どのコースにおいても研修期間中の賃金の一部や、研修に発生する経費が助成されます。

日本人と同じく外国人も人材開発支援助成金の対象者です。

キャリアアップ・採用活動が目的

(1)キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは「有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者 といったいわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度」とされています。

キャリアアップ助成金には7つのコースが用意されており、外国人が対象となるのは正社員化コースです(人材育成コースは、平成31年4月1日現在は人材開発支援助成金に統合)。しかし、外国人研修生と技能実習生は対象とはなりません。在留資格「定住者」を取得している外国人と、一部の「特定活動」に該当する外国人のみが対象です。

[参照]厚生労働省 キャリアアップ助成金

(2)雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)

雇用調整助成金は、従業員の雇用を維持するために創設された助成金制度です。現在は、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業者をサポートしています。

従業員の雇用維持のために雇用調整(休業)を実施する場合や、従業員を出向させる場合などに支払う賃金や休業手当等の負担額の一部が支給されます。

[参照]厚生労働省 雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)について

労働環境の整備が目的

●人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は、外国人労働者の職場定着のために、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行う事業者に対して、経費の一部を助成してくれるものです。

参考:「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)|厚生労働省」

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補助金・助成金を申請する際に注意したいこと

補助金・助成金について紹介をしましたが、企業と雇用者それぞれに申請条件や方法が細かく定めされています。

専門的な知識が必要になるため、事前の確認が必要です。申請時における注意点を説明しておきます。

補助金・助成金の申請の注意点

支給要件は、各補助金・助成金の内容によって異なります。受給したい場合でも、条件を満たさないケースも想定されます。

外国人においては、とくに書類関係で注意が必要です。パスポートや就労資格証明書、外国人登録証明書など、状況に応じて書類を用意しなければなりません。

補助金・助成金の申請に関わらず、外国人の採用時には、法的に問題ないかを確認しておきましょう。不法滞在や資格外の活動を行う外国人を雇用した場合、不法就労助長罪に問われて、処罰される可能性があります。

困ったら専門家に相談を

補助金・助成金の申請および外国人採用で困った場合は、専門の企業や機関に相談することで円滑に進めることができます。

例えば、キャリアアップ助成金については、管轄の都道府県労働局へ問い合わせることで、不明点を解決することができます。近年では、企業が専門業者に依頼をするケースも少なくありません。

実績のある企業に依頼することで、難しい手続きや申請をスムーズに進めることが可能です。

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まとめ

外国人研修生や実習生含む、外国人の人材を対象とした補助金・助成金をご紹介しました。制度を有効活用して補助金の受給が可能となれば、企業は外国人採用を積極的に行うことができます。

制度によって受給できる条件や資格は異なるため、専門業者に相談しながら申請を進めていきましょう。