2015.09.05 本・読書
「人間の分際」曽野綾子
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囲碁の個人レッスンのあと、いつもの書店に。
林真理子の小説の新刊、ビジネス書を手に取り、レジに行こうとすると、ワゴンにベストセラーとなってる曽野綾子の「人間の分際」が平積みに。
25万部突破。
曽野さんの本はよく読んでいるので、そのうち読もうと思いながら、いつも通り過ぎているんです。
でも、今日は、おじいちゃんとお孫さんかなという二人連れが、平積みの前で立ち止まり、おじいちゃんが、「この本は、すごく良いんだよ」と本をめくりながら、話しだしました。
小学生か中学生のお譲ちゃんは、ふーんと興味のないそぶりで、すぐどこか行ってしまい、おじいちゃんは淋しそうな目でおっかけつつ、本をワゴンに戻す姿に、私は思わず本を手に取りめくってみました。
偶然開いたページが「他人を傷つけずに生きることはできない」
~私たちは何をしても人を傷つけるということを承認し、~それゆえ、傷つかないような強靭な精神を持つことの方が先決である~そのページを深く読みいって、そのまま買って電車の中で読んできました。
読んでいるうちに気付いたのですが、これは、曽野さんの今の書きおろしではなく、今までの著作の中から、おそらく編集者が選んだ言葉集です。
だから、曽野さんの熱心な読者だと、あらっとがっかりされるかもしれないし、いえいえ、何度同じことを読んでもいいのよ、と思われる方もいらっしゃるでしょう。
さて、分際(ぶんざい)とは?
身の程。
それを心得ること。
「分相応」という言葉にも近いでしょうか。
私は30歳直前に、北海道から上京しました。
東京の事業家に熱心にお声をかけていただいたのです。
その時親しい友人が、札幌で一番の占い師で一年先まで予約が取れないけど、自分の番をあなたに譲るから行ってきて!
東京へいく御餞別よ!と紹介してくれました。
この占い師さんには「あなたは事業で成功できるでしょう。
地位・名誉・経済、良き人にも恵まれ、健康で働けるでしょう。
でも、人間には、分相応ということがあります。
これだけのものが手に入れるのです。
それ以上何を求めますか?
「分」をわきまえて、精進ください」と言われました。
この時点では、まだ自分で事業をやれるとは思ってもいませんでした。
まぁ、大きなカバンに夢と希望を詰め込んで、みたいな気分で。
へーっ、そうかぁ、あまり現実的には思えず、すっかり忘れていたのですが、のちのち、あの占い師さんに言われた人生に近づいていけるのかしらとある時から思うようになりました。
多くの人に、ことに、恵まれました。
もちろん、成功への発展途上ではありますが、ありがたく生かされています。
「分をわきまえなさい」をおっしゃってもらったことが、潜在意識に入り、謙虚になれたかもしれません。
曽野さんいわく【「やればできる」というのは、どんでもない思い上がり】
はい、ついつい思い上がってしまうことを反省し、分際を心得ていきます。
☆今日の一冊
「人間の分際」
著者:曽野綾子
- 人間の分際 (幻冬舎新書)/幻冬舎
- ¥864
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