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Interview
インタビュー

Sansan株式会社 ロックバー経営者/コネクタ/Eightエバンジェリスト 日比谷 尚武

プロフィール

東京生まれ東京育ちの江戸っ子。学生時代からストリーミングイベントなどのイベントの企画運営に携わる。大学卒業後はNTTのグループ会社で4年間勤務。その後は学生時代の後輩の会社のCOOとして、10名から150名までに企業規模が拡大・成長する過程でマネジメント全般を担当する。

30歳の時に中学高校の同級生が創立したSansan株式会社に声をかけられて入社。社内で確立していなかった会社の営業の仕組み作りや、当時BtoBでもWebマーケティングが流行っていたことからWebまわりを担当。また、マーケティング・広報の立ち上げも担い、約10年間勤務する。現在はフリーでロックバーの経営兼コネクタ、また個人向け名刺管理アプリEightのエバンジェリストとして活躍。

  • エバンジェリストのほかにバーの経営やコネクタと情報発信を軸にマルチにご活躍されている日比谷尚武さん。そんな日比谷さんに「働くということ」をテーマに、これまでのご経験や若者へ伝えたいメッセージなどをお伺い致しました。

  • 日比谷さまってどんな人?

    笹川:本日はお忙しいところありがとうございます。まずは簡単にこれまでの経歴をお伺いしてよろしいですか?

    日比谷:はい。学生時代からベンチャー企業の手伝いや個人事業主として活動していました。新卒で入社した会社を辞めた後、自分でベンチャーを立ち上げるか、もといた会社に戻ろうかと思っていたところで、学生時代の後輩に、立ち上げた会社で開発の仕事を仕切れる人材が欲しいと声をかけられて入社しました。

    しかし、勤務する中で、もともとITの力で世の中を便利にしたいと思ってこの世界に入ったのに、会社の経営やマネジメントに苦労して、サービスの中身について考えられていない自分に気が付きました。本当にやりたかったのは、もっと面白いサービスを作ったり、人をワクワクさせたり、これがあってよかったなと思ってもらうことだと思い、一度スタンスを見直しました。

    笹川:一度原点に戻ったのですね。そしてその時にSansan株式会社から声をかけられたのですか。

    日比谷:はい。Sansan株式会社は中学高校の同級生が創立した会社なのですが、彼らが創業を考えていた時に、僕がいろいろと意見交換をしていたんです。それで話をしているうちに一緒にやらないか?と誘われて入りました。入った当初はやることが決まっていなかったのですが、ちょうど世の中でWebマーケティングが流行りだした頃でもあり、また営業担当を採用して拡販していこうというタイミングだったこともあって、Webの会社で働いていた経験を踏まえてWebマーケティングを担当することになりました。前の会社では広報やマーケティングは手つかずだったので、ここでリベンジしたいとも思ったんです。

     

  • 名刺アプリEightの広報立ち上げへ

    笹川:法人向けサービスのマーケティングを行っていたとのことですが、そこから個人向け名刺管理アプリのEightのエバンジェリストの仕事はどのように始まったのでしょうか?

    日比谷:創業から数年して、法人向けサービスのSansanとは別に、個人向けのEightというサービスを始めようということになりまして。個人向けのサービスなのでますます広報が重要だということになったんです。そこで、Eightの広報の立ち上げと、人が前に出て物を伝えるエバンジェリストとして宣伝を担いました。

    笹川:Sansanの中でEightのサービスをやろうと思ったのは、Sansanが法人向けだからということが大きいのですね。

    日比谷:その通りです。創業した時から、名刺のデジタル化で何か新しいことができると思っていて、それを組織に提供するのか、個人に提供するのか、両方ともアイデアはありました。当初はビジネスとして確立しやすいのは組織、法人向けだということになりまして。ただ、ずっとEightのテスト版は作っていました。そうこうしているうちに、スマートフォンが普及して、このタイミングだ!と思って始めたわけです。「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」。ビジネスで人と出会った情報を資産、データ化してうまく使うことは個人でも法人でもどちらでも良いと思います。

  • 「働く」ということ

    笹川:では、日比谷さんにとって働くとはどういうことでしょうか?

    日比谷:決まったフレーズで決めてはいないのですが、「自分に誠実であろうとすること」なのではないかなと思います。

    笹川:これは今までの人にはないフレーズですね。素敵だと思います。

    日比谷:20代の頃にいたベンチャー企業では、忍耐というか、やりたくないことを我慢してやることも多かったんです。もちろん、課せられたミッションに対しては頑張って応えようとしていました。ただ一方で、世の中のルールに合わせて頑張るよりも、自分のやりたいことに忠実に生きた方が居心地が良いし、力を発揮できるんじゃないか、ということに気が付いて。フリーになるからには我慢したくはないですし、やるとなったら責任を自分で取るべきです。責任を自分で取るならば、自分のやりたいことや好きなことを好きな人とやって、「これは絶対にやるんだ」という状況を作っておかないと限界がきます。責任を持って頑張れる状況にするには、自分に誠実になることだと思いました。

    笹川:自分自身と向き合って、自分の中で決まりを作って貫く。自分に誠実であることはとても重要ですね。

  • 働くことで得られるもの

    笹川:日比谷さんが思う、働くことで得られるものとは何でしょうか?

    日比谷:新しい世界が見えて、自分の新しい可能性に出会えることです。自分でやろうと決めたことがあって、それをやった結果得られるものがあったり、評価をもらえたり、課題が見えたりと、何かしらのリアクションがあります。それを受けて「次はどうしよう」と考えています。

    笹川:トライ&エラーという感じでしょうか。ポジティブなこともネガティブなことも受け止めて、考え、次へ活かしているのですね。

    日比谷:そうですね。その新しい次の一歩を踏み出すために、日々繰り返し繰り返し働いていますね。

  • 働く楽しさ

    笹川:では、どのような時に働く楽しさを感じますか?

    日比谷:基本的には楽しい、やりたいと思った仕事しかやらないようにしています。責任を取れないと申し訳ないので。

    笹川:だからでしょうか。日比谷さん、とても楽しそうにしていらっしゃいますよね。

    日比谷:ミクロの意味での大変さや楽しくないこともありますが、それはまた別です。一歩引いてみた時に、「こうしたらもっとおもしろくなりそう」「これが終わったら次はこれをやろう」というように、見えてきた時が楽しいですね。

  • 影響を受けた人物

    笹川:今の日比谷さんをつくっている、日比谷さんの人生観に影響を与えた人物はいらっしゃいますか?

    日比谷:もともとヒーローみたいな人物はいないです。加えて年上の方との付き合いは苦手でした。ただ、研究者の父親がフラットな人で、上からではなく対等に話をする人だったので、そのスタイルに影響は受けたと思います。母もフリーの家庭教師をしていて、「腕と人付き合い」で仕事をしていました。子供を教えるだけでなく、保護者の方の教育相談にも乗っていました。

    笹川:ご両親の影響は少なからずあるのですね。日比谷さんとしては、どちらに似たと思いますか?

    日比谷:父親ですかね。ただ、話していて思いましたが、結果的に現在はコンサルティングや、後輩の会社や知り合いの投資家のサポートやアドバイスを行っているので、母親のしていたことに似ているかもしれません。

    笹川:ご両親の良いところを受け継いだのですね。

  • 若者へのメッセージ

    笹川:最後に、若い方々へ向けてメッセージをお願い致します。

    日比谷:「良いメンター、信頼できるメンター」を見つけてください。僕はコネクタになって外の人とつながるということをしていくうちに、以前は好きではなかったのに自分から外へ出るようになり、多くの人から学んだり助けていただいたりすることができました。結果的にとても良かったと思っていますし、もっと早いうちから社交的に外に出ていれば…とも思います。

    笹川:私も20代の頃から意識していました。歴史上の人物であったり、必ずしも生きている人がメンターである必要はないですよね。

    日比谷:今インターネットでも自己啓発などわかりやすい情報がたくさんありますが、自分のステージにあったものがあるかは分かりません。だからこそ、直接人に会うことが重要です。この人なら信頼できる、という人をたくさん見つけてください。

    笹川:一人ではなく、たくさんの信頼できるメンターを見つける。人間への免疫が大切ですよね。日比谷さんが若い頃にできなかったからこそのメッセージだと感じます。日比谷さん、ありがとうございました!