中国人観光客は本当に減少した?その理由と最新観光トレンドを解説

中国人観光客向けに事業・店舗を構えている場合、気がかりになるのは中国人観光客数の動向です。観光スポットや繁華街に足を運んでみると、以前に比べて中国人観光客が減ったような印象を受けます。 実際に、日本を訪れる中国人観光客は減少してきています。一体、どんな理由があるのでしょうか。訪日中国人観光客を増やすための方法についても探っていきます。 また、集客を成功させて売上を伸ばすためには、どうすればよいのでしょうか。参考にすべき最新観光トレンドについてもご紹介します。


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日本を訪れる中国人観光客はなぜ減った?

中国人観光客数は、どれくらい減少しているのでしょうか。日本政府観光局の調査によると、2018年は年間を通して増えていますが、9月に転換期が訪れました。

自然災害がつづいた一年

2018年は、台風や地震など日本各地で自然災害がつづきました。9月には、最大震度7を記録した北海道胆振東部地震が発生。新千歳空港や鉄道貨物などが全面停止しました。

さらには大型の台風21号が西日本を直撃。高潮被害による影響で、関西国際空港が閉鎖され、一時的に孤立状態に陥ったのです。

ニュースなどでも、近年まれに見る自然災害の影響で、 国内外問わず旅行・渡航予約のキャンセルが相次いだことが報じられています。

しかし、多くの訪日観光客にとって日本の入り口である関西国際空港が早期復旧したおかげで、同年10月には中国人を含む訪日客数は回復しています。

[参照]国土交通省・平成30年度 観光の状況

中国の経済環境の変化

中国国内の経済に変化があったことも、関係していると考えられています。

他国の通貨から人民元を守るために、中国政府による介入がありました。具体的には輸入関税の税率を上げたり、海外での現金引き出し限度額を年間10万元(約160万円)に制限したりして、日本での消費を抑止するような動きがみられました。

このような動向に加えて、中国では越境EC(インターネット通販サイトによる電子商取引)が浸透しています。これにより日本製品を、中国国内で誰でも気軽に手に入れられる環境が整いました。中国人観光客が訪日する目的の多くは、買い物です。訪日してモノを買う必要性が低下していったのです。

急激な成長を遂げてきた中国経済。現在、その勢いは鈍化しつつあります。発展を遂げた中国では、経済格差が拡大しました。富裕層からは人気の日本ですが、低所得者にとって訪日することは現実的ではありません。観光客数の伸び悩みは、経済問題にも起因しています。

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大きく減少しているのは中国人観光客数ではなく、「爆買い」

訪日中国人観光客といえば、「爆買い」のイメージを持つ人も多くいることでしょう。しかし買い物代は、大きく減少してきています。中国人観光客の目的が「モノ」消費から「コト」消費に変化しつつあることが、背景にあります。

中国人観光客の買い物代は減少、食・娯楽・サービス消費は増加

公益財団法人 中部圏社会経済研究所の調査資料によると、2016年を機に、中国人観光客の買い物代が減少傾向にあることが分かりました。

一方で興味深いのは、2016年から娯楽・サービスにかける費用は増加傾向にあることです。食にかける費用も増加しつつあり、「コト」消費へシフトしていっていると考えられます。

[参照]:公益財団法人 中部圏社会経済研究所「訪日中国人観光客の爆買いの動向と今後について」※pdfデータ

「コト」消費が最新トレンド

「コト」消費とは、日本現地でしか味わえない、体験できない「コト」に対価を支払う行為です。「モノ」は、中国国内でも、インターネット上で購入できます。わざわざ足を運んででも消費をしたいサービスが、最新トレンドとなっています。

歌舞伎や能楽、茶道、陶芸、神社仏閣、和食など、日本ならではの独自性を挙げればきりがありません。今後も「コト」消費は伸びると期待されています。

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中国人観光客を増やすにはインバウンド対策の充実がカギ!

中国人観光客を増やすためにカギを握っているのは、インバウンド対策です。快適な日本旅行を中国人観光客に提供できることが、観光客増加へつながります。では、どのようなインバウンド対策が効果的か見ていきましょう。

体験型イベント・アクティビティを設け、周知する

中国人観光客から人気を博しているのが、体験型のイベント・アクティビティです。日本ならではの伝統文化・自然を満喫できるコンテンツに期待が寄せられています。

例えば、着物体験、寿司などの日本食・郷土料理づくり、生け花、茶道体験が挙げられます。コンテンツを設けるだけでは集客にはつながりません。

そこで、口コミが広がる仕掛けが求められます。有力な方法の1つが、中国国内で独自のSNS「Weibo」「WeChat」「QQ 」の活用です。近年、口コミサイトで情報収集している個人旅行者が増えているため、集客ツールとして使えます。

QRコードの設置のほか、中国の口コミサイトに公式アカウントを登録し、口コミを投稿したらドリンク無料・お土産サービスといった利用促進、中国語メニューや案内などの施策をすれば、口コミを投稿してもらいやすくなるでしょう。お店ならではのサービスを検討してみてください。

中国人スタッフがいれば理想的

中国人スタッフを雇用することも、中国人観光客を増やす対策となります。中国語による説明書きやメニューでも構いませんが、中国人スタッフが常駐していれば、中国人観光客にとっては安心材料となります。

加えて、他店にはないサービスとして噂になり、口コミも投稿してもらいやすくなります。海外旅行には、言語や文化の壁があります。中国人スタッフのサポートによってストレスが軽減されることで、中国人観光客は日本の文化、歴史、自然を気持ちよく楽しむことができるでしょう。

それが結果的に、観光客の増加につながっていきます。

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まとめ

日本を訪れる中国人観光客が減少している理由について、自然災害と経済環境による観点から見てきました。

中国人観光客を増やすためには消費トレンドである「コト」消費に注目し、日本ならではのコンテンツを設けて、口コミで拡散させる方法が効果的です。

加えて、中国人派遣スタッフを雇用して、満足度の高いサービスを提供することが、中国人観光客数を伸ばす対策となります。