最低賃金は外国人労働者にも適用される?外国人雇用のポイント

日本で働く労働者は、みな、「労働法」によって同等の権利が約束されていて、外国人労働者であっても同じです。賃金については、彼らの国のレートに合わせた賃金で雇用できるわけではありません。 定められた最低賃金、または、特定最低賃金よりも低い賃金で労働させると違法となり、罰金刑も科される可能性もあるため注意が必要です。外国人労働者の雇用を検討するうえで、知っておくべきポイントをご紹介します。


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最低賃金とは

最低賃金は、いったいどのように決められているのでしょうか。

労働に関する法律

労働に関わる法律の中で、「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」は、代表的なものとして、「労働三法」と呼ばれています。

そのほか、「最低賃金法」「労働契約法」「男女雇用機会均等法」「労働者派遣法」といったものもあります。いわゆる「労働法」は、これら労働に関する多くの法律を総称したものを指し、「労働法」という名称の法律はありません。

例えば、法律がなく、双方の同意のみで契約内容が決められるとなれば、トラブルが起きた際には雇用側、労働者側ともに不利な条件となることも十分に考えられます。

仕事に就く際は、使用者と労働者の間で労働契約を結びます。そのとき、労働者を守るために決められているのが労働法です。

労働者の最低賃金について定めているのは、「最低賃金法」という法律です。

[参照]厚生労働省・第1章労働法について

最低賃金とは

最低賃金とは、労働者とその家族が、最低限の生活需要を満たすことができる金額であると設定されています。

月給制の場合は、月給を労働時間で割ることで、1時間当たりの賃金を算出します。ひと月の支給額が一定水準であっても、労働時間が長ければ最低賃金を下回る可能性もあるため注意が必要です。

また、最低賃金は日本で働くすべての労働者が対象となります。金額は、その土地の物価によっても異なるため、都道府県でばらつきがあります。

地域別最低賃金は毎年10月1日に改定されるため、何年も賃金の変動がないという企業は注意が必要です。使用者へ最低賃金以上の報酬を支払うことが、雇用者の義務です。

最低賃金以下の報酬で労働者を働かせていた場合、最低賃金法違反で罰金が科せられる可能性もあるのです。

[参照]厚生労働省・賃金引上げ、労働生産性向上

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外国人を採用した場合も最低賃金は適用される

労働者が外国人であっても、最低賃金法は適用されます。

外国人を最低賃金以下で働かせるのは違法

先述したとおり、最低賃金法は日本で働くすべての労働者に適用されます。もちろん外国人労働者も対象です。外国人だからといって、最低賃金よりも低い給与で働かせることは違法となります。

科される可能性のあるペナルティは、50万円以下の罰金。すでに外国人労働者を雇用している、もしくはこれから雇用を検討している企業は知っておく必要があります。

毎年更新されている地域別最低賃金を把握し、支払う給与に反映させなければなりません。

また、最低賃金法違反による損失は罰金だけではありません。

「最低賃金以下で労働させていた」というマイナスイメージが世間に広がれば、企業のイメージダウン、さらには、労働希望者が集まらないといったダメージも考えられます。

最低賃金が割増になる場合も

業種によっては、最低賃金が割増しとなる、特定最低賃金の適応を受ける場合もあります。
具体的には、電子機器の組立業、鉄鋼業、自動車小売業など、特殊な技術を必要とする業種が対象となります。特別なスキルを要する仕事に就く人材に対して、その分の賃金割増しを企業に約束させる法律です。

自身の企業が特定最低賃金であった場合には要注意。なぜなら、対象の産業であるにも関わらず、通常の地域別最低賃金のみ支払っていた場合も最低賃金法違反となるからです。

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最低賃金以外にも注意したい法律

最低賃金以外にも注意したい法律があります。

労働時間にも注意が必要

注意が必要なのは、最低賃金だけではありません。労働時間にも制限が設けられています。日本で働く外国人には、最低賃金法と同じく労働基準法が適応されるためです。

労働基準法は労働時間に関し、使用者は、原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないと定めています。

休憩時間に関しても、6時間を超える労働には45分以上、8時間を超える場合は1時間以上与えること。少なくとも週に1日、4週間を通じて4日以上といった休日に関する定めもあります。

留学生アルバイトの場合は、1週に28時間を超える労働は禁止されています。仮に労働者側が時間外労働を希望したとしても、このルールは守らなければなりません。

[参照]厚生労働省・労働時間・休日

外国人採用に不安を感じたらプロに相談

日本で生活する外国人は、日本で労働し、対価を得ることができます。しかし、それは入国の際に付与された在留資格のもと、定められた在留期間内に限り認められた権利です。

また、本人が所持する在留カードや外国人登録証明書にて在留資格の確認ができなかった場合は、地方入国管理局に問い合わせるといった方法もあります。

「人員不足で対策を取らなければいけないが、外国人雇用は難しそう」「外国人を雇用したいが、教育している余裕はない」このような不安で二の足を踏んでいる場合は、専門的な知識と実績のあるプロに相談されることをおすすめします。

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まとめ

外国人労働者を雇用することで、多くのメリットを期待することができます。例えば、社内のグローバル化を図ることができます。外国人を雇用することで、顧客に対して日本語以外の言語での対応が可能となり、取引先の幅が広がる可能性もあるでしょう。

また、外国人を雇用することで、日本人にはない発想やアイディアをもたらしてくれることにも繋がります。そのため、社内に新しい風を取り入れることができます。

しかし、そのためには、越えなければならない課題があることも実情。外国人に対して、労働法のことだけではなく日本の文化を理解してもらうことも大切です。言葉遣いや毎日定刻に出社することなど、他の日本人社員との認識の違いを埋めなければなりません。