外国人の観光客を案内する方法!

水際対策が緩和され、外国人観光客は今後また増加の一途をたどるここと思われます。英語や中国語、韓国語に限らず、多種多様な言語への対応が必要とされているなか、日本の観光地では思うように多言語化が進まず苦慮しているといいます。 コミュニケーションや看板などの言語問題をクリアして観光客の方々に存分に楽しんでもらうには、どのような方法があるのでしょうか。


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外国人観光客の観光で困っていることがある!

水際対策が緩和され、ここ数週間、街で見かける外国人観光客の数が「大幅に増えた」と感じる人は多いのではないでしょうか。

日本を訪れる外国人観光客は2011年以降右肩上がりで増え、2018年には3000万人を超えました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時は大幅に訪日客が減りましたが、ようやく水際対策が緩和され、各地には観光客の姿が戻ってきました。

しかし、2年半近く外国人観光客の対応がなくなっていたため、徐々に増えつつある外国人観光客への対応が間に合っていないなど、現場では様々な問題が発生しているようです。実際、どのようなところに困っているのでしょうか。

[参照]日本政府観光局 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国外国人)

コミュニケーションが取れない

日本の観光地が外国人観光客を受け入れるにあたり、まず困っているのがコミュニケーションです。日本人の多くは外国語をスムーズに話すことができず、案内やサービスをするにあたり苦慮する場面が多いようです。

特に、小売店や飲食店など外国人の方が観光するために欠かせない場所でのコミュニケーションの問題が多発しています。

外国語に対する自信のなさや消極的な日本の国民性もあいまって、近年急激に増加している外国人観光客への対応が追いついていないということのようです。

表現がわかりにくい

訪日外国人観光客の国籍は、中国や韓国をはじめとしたアジアの国々や、欧米各国など非常に多岐に渡っています。最近では、街中の案内表記が英語に加え、中国語や韓国語なども見られるようになってきました。

それでも、まだまだ多言語の対応は追いつかず、訪日客の中で、もし英語が話せないというような場合は、現在の言語表記だけでは理解しづらいといったことがあるかもしれません。言語や文化の違いを乗り越え、日本のマナーを共有し守ってもらうためにも、多言語表現は必須と考えられます。

この先、日本では大阪万博なども開催されるので、多言語表記やイラストなどを取り入れた分かりやすい案内表示が求められています。
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外国人観光客を案内する通訳ガイド制度が誕生

2018年1月4日に通訳案内士法という法律が改正され、国家資格がない人でも有料で通訳ガイドができるようになりました。具体的にどのような点が改正されたのでしょうか。

通訳ガイド制度

「通訳案内士」は、観光庁長官が実施している国家試験をパスしなければ名乗ることができない資格でした。取得するには、高い語学力はもちろん、日本の文化や歴史、地理などに関する知識が求められます。
そして、外国人観光客を通訳案内する業務はこの「通訳案内士」のみが有償で行ってよい業務とされていました。

しかし、2018年1月の法改正により、通訳案内士の業務独占規制が廃止になったため、通訳案内士の資格がなくとも有料でガイドを務めることができるようになりました。また、国家試験をパスした「通訳案内士」は「全国通訳案内士」へと名前が変わりました。

制度改正の理由とは?

通訳案内士法が改正された理由のひとつは、外国人観光客の増加です。前述の通り、訪日外国人の数は年々増加しており、東京オリンピック開催の2020年にはピークを迎えるといわれていたため、その状況に対応すべく法改正に至ったと考えられます。(実際は新型コロナウイルス蔓延のため、訪日外国人数は大幅に減少しましたが)

また、英語以外の外国語を専門とした通訳案内士が非常に少ないという点も、法律が変わった原因のひとつです。通訳案内士の約7割が英語を専門としており、英語以外の言語に対応できる通訳案内士が圧倒的に不足しているのです。

このことが法律見直しのきっかけとなりました。

他にも、通訳案内士の国家試験が難関で合格率が低いという点も法改正の理由のひとつです。また、ガイドとしての能力向上を求める声もありました。これらのことから、無資格でも有償のガイドを務められるよう法律が見直されたということです。

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外国人観光客をスムーズに案内するために!

年々増加する外国人観光客には、できるだけよい思い出を多くつくって母国へ帰ってほしいものです。言語の壁によって日本のイメージが悪くなってしまうのはとても残念です。お互いにストレスのない案内を可能にするためにはどのようなアイディアが考えられるでしょうか。

多言語対応を実施

スムーズな案内のために、タブレット端末による案内を取り入れるという方法があります。タブレット型の通訳サービスなら多言語に対応することができ、情報量も非常に多いため多種多様な観光客のニーズに応えやすく、導入のハードルも比較的低いと考えられます。

また、人間による案内そのものを減らすために、メニューや看板を複数の言語で表示するという方法も有効です。飲食店での食べ物の詳細や、道路標識や地図案内など、外国人観光客に必要な案内が多言語表記されていれば、スムーズな観光を後押しすることができます。

その他にも、自治体や官公庁による多言語ツールを取り入れることもできます。特に観光庁は観光名所の呼び方の統一化や、注意喚起の表示方法など観光地で必要と思われる基本的なフレーズや表示内容をわかりやすくまとめているので、簡単に利用することが可能です。

多言語に対応した外国人を採用

多彩な訪日外国人の方々に対応するには、同じく多彩な外国人の方々を採用するという方法もあります。もともと外国で生活していたバックグラウンドがあれば、その習慣や文化に精通しているため、観光客の方にとっても受け入れる側にとってもストレスのない案内が可能になります。

また、日本で就職を希望している外国人の方々は総じて適応能力が高いという面があります。日本で働こうと考える方々の多くが、何かを学んだり取り入れたりしようという気概が強く、勉強熱心な方が多いため基本的な能力が高いといわれています。

加えて優秀な若年層の採用を期待できるという点も外国人採用の利点の一つです。

外国語にまだまだ苦手意識のある日本人が、一から外国語を学び文化を理解するところからスタートするのはとてもハードルの高いことです。

しかし、日本の文化を理解しており、日本で働きたい外国人を採用することでそのハードルを回避することができます。

しかも外からの視点を持つ外国人の方々が職場に加わることで、全体の活性化をはかり、新しいアイディアの創出を期待することができます。

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まとめ

外国人観光客が増加している日本の観光産業において、多言語化は急務と考えられます。この状況に対応するため、日本人スタッフは外国語を学んだり、タブレット端末や多言語ツールを取り入れたりする必要があります。

しかしそれは多大な労力と時間とコストを要するため、日々増加する訪日客へ満足のいくおもてなしを可能にするには限界があると考えられます。

外国人採用は、多言語対応だけでなく職場の活性化にもつながり、日本人だけでは気づかなかった新たなアイディアの発想が期待できます。