日本の外国人観光客はますます増加!今後国内にどんな影響を与える?

2005年には約673万人だった日本を訪れる外国人観光客の数は、年々増加の一途をたどり、2018年には約3,120万人にまで拡大しました。わずか13年間の内に、4.5倍以上も日本を訪れる海外からの観光客は増加したのです。その後新型コロナの影響で大きく減少したものの、2023年に入ってからは外国人観光客が戻りつつあります。 さらには円安の影響もあり、外国人観光客はますます増えると考えられているのです。 それでは日本を訪れる外国人増加によってどのような影響があり、各企業にはどのような課題が生まれるのでしょうか。


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外国人観光客が増加することによる課題とは?

外国人観光客の増加は、日本の観光業などの産業の活性化、日本経済の拡大に良い影響を与えてくれます。実際に、日本での外国人観光客の増加をビジネスチャンスに考えている企業もあるでしょう。

しかし、良い影響がある反面、さまざまな課題をクリアしないと、継続的な需要は見込めません。外国人観光客の増加で表面化した課題のうち、主な課題ふたつを解説します。

多言語化対応や異文化への理解

ひとつ目の課題は、外国人観光客が増えることによって、日本人向けの対応では追い付かなくなるということ。円滑なコミュニケーションでトラブルを減らすには、多言語化と異文化への理解が必要になります。

まず、多言語化への対応ですが、民間では多言語化の表示が少ないなど、外国人観光客が安心してサービスを利用できないのが現状です。

多言語化に対応できていないと、使い方が分からなかったり、システムが理解できなかったり、不要なトラブルを招く原因にもなります。

また、異文化に対する理解が少ないのも問題です。日本ベースで考えると常識的なことでも、国際ベース、あるいは国単位で考えると、まったく違う受け取り方をされる場合もあります。また、日本独自の考え方や習慣のために、単純に知られていないといったことも多くあります。

例えば、日本では湯舟につかることが当たり前ですし、温泉など公共の風呂でのマナーも親から教わって知っている場合が多いです。
しかし、海外では湯舟につかる人や地域は非常に少なく、基本的にはシャワーです。
公共の風呂がある場所もありますが、水着を着て入るスパのような感じになっていたりと、日本とは勝手が違います。

そのため、風呂上りに脱衣所に入る前に体をふく、といった些細なことでも、お風呂場に明示をしておくといった工夫が必要なのです。

宿の数が足りない

もうひとつの大きな課題は、外国人観光客の増加に対して、受け入れることのできる宿が不足していること。特に大都市圏は人が集中しがちで、常に高稼働状態です。

これにより、さらなる受け入れが難しくなったり、宿泊料が上がったりするなどの問題が表面化してきました。

そこで目を向けられるようになったのが、大都市圏と比べて交通の便の問題があった地方です。地方での宿泊は、地方自治体のプロモーションやインフラ整備などが徐々に整ってきていることもあり見直されてきています。

まだまだ規模としては小さいですが、地方における外国人観光客からの旅館の人気は年々高まってきました。しかし、旅館の数は限られていることから、地方においてもさらなる受け皿の準備が必要となってきます。

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外国人観光客の増加による課題解決はどのようにして行う?

近年の外国人観光客の増加を受け、課題解決が必須となってきています。

このような風を受けて、国を挙げての法整備が進行。
さらに、地方自治体では海外に向けたプロモーションや観光資源の整備が進められています。

もちろんこうした環境の整備は重要ですが、各企業における外国人観光客に向けての取り組みも、顧客を取り込んでいくうえで重要です。

外国人の採用をする

外国人観光客増加を受けて、企業や組織でできる解決法のひとつが、外国人採用に力を入れることです。

多言語化対応のために、外国語が話せる日本人、外国の文化を理解している日本人を採用するのも方法のひとつですが、よりきめ細やかな対応を考えたとき、外国人の採用も候補として考えられます。

訪日外国人に対してスムーズに対応できるようになるほか、同じ言語が話せるスタッフあるいは文化を理解してくれるスタッフがいることは、外国人観光客にとって安心できるポイントになります。

さらに、外国人を採用することで通訳ガイド(外国人に対する観光ガイド)の需要にも対応ができます。

これまで通訳ガイドは国家資格が必要でしたが、法改正によって資格がなくても有償での通訳ガイドが可能となったことから、企業においてさらに外国人スタッフを活かすことができるようになりました。

ゲストハウスや民泊の増加

増える外国人観光客に対しては、もうひとつ宿不足の課題がありました。この、宿不足解消のため、2018年6月15日より施行されたのが、住宅宿泊事業法です。

これまで宿泊事業については旅館業法の許可が必要で、許可を得るにはいくつか要件を満たす必要がありました。住宅宿泊事業法が施行されたことによって、個人単位での宿泊事業がやりやすくなったのです。

必要な要件さえそろっていれば、実際に住んでいる場所、あるいは普段入居者を募集している賃貸物件さえも宿泊施設として活用できるようになりました。これにより、日本ではゲストハウスや民泊を事業として行う人が増えました。

さらに、こうした民泊などの増加を後押ししたのが、外国人観光客のニーズの変化です。過去には日本製品の購入を目的とした外国人観光客も多かったのですが、モノではなく日本の文化やレジャーなど体験するコトの消費に需要が伸びています。

ゲストハウスや民泊は、ホテルとは違い、実際の日本の住居を体験できる場にもなりますし、ホテルよりも安価であることから多くのビジネスチャンスを生み、各地で広がりを見せているのです。

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外国人観光客の増加には外国人採用がおすすめ!

外国人観光客増加における対策について紹介してきましたが、民泊やゲストハウスなどの宿の用意は一部の事業に限った対策、あるいは小規模な事業展開が予想されます。

外国人観光客向けの対策をもっと幅広い視野で考えた場合、どの事業においても重要で、かつできるだけ早急な対策が望まれるのが、外国人観光客がより安心して、リラックスして滞在できる環境づくりです。そこで大きな柱となるのが、先ほど紹介した外国人の採用です。

ここで、外国人の雇用を考えたとき、相談先あるいは人材発掘の場となるのが、ハローワークや人材派遣会社。

人材派遣会社の活用で効率的に外国人採用を行ない、外国人観光客増加による外国人向けの対応をスムーズにかつ適切に行えるよう体制を整えていきましょう。

もちろん、日本人客の対応もする必要があるため、日本語教育接客マナー教育もしっかり行い、「日本のおもてなし」を実践できる外国人スタッフの育成が大切です。

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まとめ

日本を訪れる外国人観光客の増加によって、経済効果などのさまざまな恩恵が得られる一方、数多くの外国人観光客にどのように対処するのか対策が急がれています。特に注目すべきなのは、外国人観光客に対していかにスムーズにコミュニケーションを図るかです。

外国人労働者の採用も視野に、社内におけるグローバル化を図っていきましょう。