ますます増える中国人採用、就労ビザ手続きを簡単解説!

外国人を雇用する際には、就労ビザの有無を確認する必要があります。 しかし、国によって要不要が変わったり、どのように確認したら良いかわからなかったりと、手続きが煩雑で難しいと感じる人も多いのではないでしょうか? ここでは、中国人を雇用する際の就労ビザの有無や確認の仕方についてお話ししたいと思います。中国人を雇用する予定がある方や、現在中国人を雇用していて就労ビザについてよく知らないという方は、ぜひ参考にしてみてください。


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中国人の就労ビザが必要な場合ってどんなとき?

中国人を雇用する際にどんな場面で就労ビザが必要なのでしょうか?

世間一般でよく言われる「ビザ」と、「入国管理及び難民認定法」(通称:入管法)で規定されている正確な意味での「ビザ(査証)」には、実は大きな違いがあります。

在留資格を「ビザ」、就労が可能な在留資格を「就労ビザ」と言います。

中国人が日本で就労するためには、入管法で定められている在留資格のうち、就労が認められる在留資格(就労ビザ)を取得する必要があります。

「在留資格」は「在留カード」に記載されています。

そもそも、外国人を雇い入れるときは、在留資格と在留期間を必ず在留カードで確認する必要があります。

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就労可能な中国人の就労ビザの種類

中国人を雇用して在留カードの在留資格を確認する際に、何をどう確認すれば良いのでしょうか?

ここでは、就労ビザの種類について詳しくご説明します。

入管法では、在留資格が29種類にも細かく分類されています。

ここでは、就労条件によってその在留資格を4種類に分類しました。

それが、以下の分類になります。

① 就労が認められるもの

② 就労が認められないもの、または制限付きで認められるもの

③ 個々の許可内容によるもの

④ 就労活動に制限のないもの

これら4つの分類について、一つ一つ説明していきたいと思います。

① 就労が認められるもの

一般就労ビザと呼ばれるもので、制限付きで就労が認められます。

例えば、一般就労ビザには、「外交」「公用」「医療」「研究」「教育」「技能」など、様々な資格が設定されています。

この資格を持つ中国人は、規定された資格の範囲内でのみ就労活動が認められています。

例えば、「教育」の資格で中国語教師として活動をしている人が、中華料理店でコックとして働くことは原則的に認められません。

日本企業で、ある分野で「研究」をする資格を持って技術開発研究を行っている人が、その企業で営業マンとして客先回りをすることもできません。

ただし、入管法19条にある「資格外活動許可」を取得している場合は、その限りではありません。

一般的に、この資格が認められるのは特殊な技能を持つホワイトカラーのみです。

そのため、単純労働者にはこの資格は認められません。

② 就労が認められないもの、または制限付きで認められるもの

「留学」「文化活動」「家族滞在」などの資格しか認められていない場合は、報酬を得る活動を行うことができません。

ただし、入管法19条に定める「資格外活動許可」を取得した中国人は、ある一定の範囲内で収入を伴う活動をすることが認められます。

③ 個々の許可内容によるもの

「特定活動」という在留資格があります。

これは、例えば次のようなものです。

ワーキングホリデー制度により入国する者、インターンシップの活動を行う大学生、外交官に私的に雇用される従業員、国際仲裁代理を行う外国人弁護士などです。

④ 就労活動に制限のないもの

以下の資格を持っていれば、職種に制限なく日本国内で働くことができます。

「日本人の配偶者等」
「永住者の配偶者等」
「定住者」
「永住者」

上記の①~③までの就労資格の場合、職種や就労時間などが制限されていますが、④の資格なら制限なく就労が許されます。

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就労ビザのない不法就労者雇用は絶対NG!

絶対に避けたいのが就労ビザのない不法就労者を雇用してしまうことです。

しかし、就労ビザをしっかりと確認していたつもりでも、意図せず不法就労になってしまうケースが後を絶ちません。

そのようなことを防ぐために、不法就労とは実際にどのようなケースがあるのかを正しく知っておく必要があります。

ここでは、不法就労とは何なのか、不法就労を許してしまうと企業はどのようなペナルティを受けてしまうのかを詳しく見てみましょう。

不法就労者とは

不法就労者とは一体どのような人たちのことを言うのでしょうか。

単に最初に不法入国したケースだけではなく、様々なケースがあります。

ここでは、様々な不法入国のケースについてご紹介します。

① 不法に入国して就労している者
その名の通り、不法に入国して就労している者です。
在留資格がないのに働いているケースが考えられますが、これは雇用主が在留資格を正しく確認していれば起こらない問題です。
在留カードを偽造していたり、なかなか在留カードを提出しなかったりする場合は、決して雇用を認めてはいけません。

② 在留資格ごとに認められている活動範囲を超えて、就労活動をしている者
在留資格はあっても、その資格の種類とは異なる就労活動をしている場合も不法就労に当たります。
例えば、上記で「① 就労が認められるもの」という在留資格をご紹介しました。
その資格の種類には、「外交」「公用」「医療」「研究」「教育」「技能」などがあったと思います。
例えば、「医療」の資格を取得し医師として就労しているのに、講演活動や執筆活動をして報酬を得た場合は資格とは異なる就労活動にあたります。
そのため、不法就労になってしまうのです。

③ 在留期間を超えて在留し、就労している者
最も多いのが、在留期間を超えて在留し、就労しているケースです。
最初こそ在留資格を正しく確認出来ていても、在留期間を超えてしまえば資格は失われてしまいます。
よくあるのが、在留資格を得て職にありついた外国人が、いつの間にか姿をくらまして他の在留資格を細かく確認しない職場で在留資格を超えて働くというケースです。
これを防ぐためには、在留カードの在留期間を確認し、在留期間が切れそうになったら在留資格の更新を促す必要があります。

不法就労助長罪とは

不法就労者を雇用すると、企業側も不法就労助長罪に当たり罰せられます。

不法就労助長罪とは、「不法滞在者または就労することのできない在留資格の外国人を、それを知って就労させたり、他の会社等に斡旋したりした場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する」(入管73の2)のことです。

企業側が罰せられないためにも、在留資格は必ず確認するようにしましょう。

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まとめ

中国人の在留資格について細かく見てきました。中国人を雇用するためには、在留資格をかなり細かくチェックし、在留資格があったとしても在留期間を常に意識しておく必要があります。

そして、在留資格がない者や在留期間が切れた者を雇用してしまうと、企業も罰せられることになってしまいます。そのようなことが無いように、外国人労働者の在留資格管理は厳密に行いましょう。