【徹底解説!】外国人採用の養成講習について

外国人労働者を受け入れるためには、さまざまな規律を守る必要があります。法律で受講が義務付けられている養成講習は、監理団体や労働者受け入れ機関が規律の知識を学ぶためのものです。 技能実習生の受け入れに関わる担当者や責任者は、講習のルールや仕組みについて知っておく必要があります。 今回は、養成講習を受けなければならない対象者や、それぞれの講習内容と受講する際に注意したいポイントについて解説します。


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外国人が日本で働く際に受けなければいけない養成講習ってどんなものなの?

人手不足が懸念される日本で、大きな期待がかかっている外国人労働者。企業が外国人労働者を受け入れる際、受講が義務化された養成講習が存在します。以下では、講習の対象者や学習内容について説明します。

養成講習はどんな人が受けるの?

技能実習法では、技能実習生の受け入れに当たって、以下の役職に就く人に、法律や制度についての講習を受けさせることになっています。

・監理団体の管理・運営に関わる役職
監理責任者
指定外部役員
外部監査人

・技能実習生の受け入れ機関の責任者
技能実習生責任者

いずれの役職者も主務大臣が指定した講習機関が実施する養成講習を3年ごとに受講することが義務付けられています。

また、以下の者は、それぞれの職務に合った講習を受けることが推奨されています。

・監理団体に所属し、技能実習の適正な実施を監理する職員
・受け入れ企業に所属し、実習生に業務の指導を行う者
・受け入れ企業に所属し、実習生に生活指導を行う者

これらに該当する人に対しては、定期的な講習の受講が義務ではありません。

講義の内容について知りたい!

では、受講者はどのような内容の講習を受けることになるのでしょうか。養成講座の内容は、受講者の役職によって異なります。

監理団体に所属する監理責任者・指定外部役員・外部監査人は「監理責任者等講習」。
技能実習生の受け入れ機関に所属する技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員は「技能実習責任者等講習」をそれぞれ受講します。

監理責任者等講習

・対象者:監理責任者・指定外部役員・外部監査人・その他監査担当職員等

・内容:監理団体の責任者向けの講習です。監理団体は技能実習が適正に行われているかの監視や、制度の周知等が主な業務です。そのため、学ぶ内容は、法律や制度に関するものが中心になります。具体的には、以下の通りです。

「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」「労働関係法令」「出入国管理」「難民認定法」「職務遂行上の留意点」など。

[参照]全基連 監理責任者等講習

技能実習責任者等講習

・対象者:技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員

・内容:技能実習生を受け入れる企業等の責任者・担当者が受ける講習です。実習生の監督や指導は業務だけでなく日常生活全般に及ぶため、講習は「技能実習責任者講習」「技能実習指導員講習」「生活指導員講習」の3つに分かれています。

講習で学ぶ具体的な内容は次の通りです。
「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」「労働基準法及び関係労働法令」「労働災害防止・労働災害時対応」「技能実習指導の行い方」「労働災害防止・労働災害時対応」など。

(参照:全基連 技能実習責任者等講習

養成講習の内容が理解できたかテストがある?!

いずれの養成講習においても、受講当日に理解度を確認するテストを受ける必要があります。

2018年までは、テストの点数に関わらず受講証明書が交付されていました。しかし、2019年からは講習の仕組みが変わり、合格点に満たない場合は受講証明書が交付されないようになりました。各テストの合格点は以下の通りです。

・監理責任者等講習:80点
・技能実習責任者講習:70点
・技能実習指導員講習:70点
・生活指導員講習:70点

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外国人採用における養成講習のテストの内容って?

一定以上の点数を取らなければ受講証明書が交付されない養成講座。テストは養成講座を受講したその日に、受講した内容から出題されます。ここでは、テストの出題形式やテスト後の流れについて解説します。

理解度テストはどんな内容?記述?マークシート?

養成講座の最後に受検する理解度テストは、すべて○×形式です。全20問出題され、制限時間は10分間。合格ラインは講習により異なりますが、前述した通り70~80点を取らなければ合格とはならず、受講証明書は交付されません。

テストの内容は、その日に受講した講習の内容を踏まえて出題されます。

テストを受けるとどうなる?

当日のうちに合否が発表され、合格者には受講証明書が交付されます。不合格者には不合格通知書が交付され、当日に補講をおこなって再テストが実施されます。再テストでも合格できない場合は、受講証明書が発行されないため注意が必要です。

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養成講習の受講料はいくら?

受講料は、養成講座を受講する機関によって変わります。下記では、全国で養成講習を実施する「株式会社ウェルネット」の、2023年に実施される講習受講料を一例として紹介します。

・監理責任者等講習:通学形式9,900円(税込)/ オンライン形式15,400円
・技能実習責任者講習:通学形式12,650円(税込)/ オンライン形式17,600円
・技能実習指導員講習:通学形式12,650円(税込)/ オンライン形式17,600円
・生活指導員講習:通学形式12,650円(税込)/ オンライン形式17,600円

[参照]株式会社ウェルネット 外国人技能実習制度における養成講座

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まとめ

今後、日本での就労者が増えることが予想される外国人労働者。なかでも、外国人労働者の大部分を占める技能実習生の受け入れには、さまざまな法律や制度を遵守することが求められています。

養成講習は、技能実習生受け入れに関わる機関や役職者が知っておくべき知識を学ぶためのものです。

監理団体や外国人労働者の受け入れ機関には、役職者や受け入れ担当者に決められた養成講座を受講させる義務があります。ルールを守り、外国人労働者が安心して働くことができる環境を整えましょう。