外国人留学生を日本でアルバイト雇用するために知っておくべきこと

少子高齢化により、人口が減り続けている日本の労働力不足は深刻です。女性や高齢者の雇用も積極的に行われてはいますが、それでも人手不足の抜本的解消には程遠いのが現状でしょう。 一方で、日本に留学する外国人は現在24万人を超えており、まだまだ増え続けています。それにともなって、こうした外国人留学生をアルバイトとして採用したい、と考える日本の大手企業も増加傾向にあります。 しかし、企業側が外国人労働者をアルバイトとして採用したいと思っても、労働条件やチェック項目に不明点が多く「なかなか行動に移せない」というケースが多く見られるのが現状です。 そこで、本記事では外国人留学生をアルバイトとして雇用するための方法をご説明いたします。


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外国人留学生雇用に伴う必要確認事項

外国人の留学生は新型コロナウイルスの影響で一時はやや減少したものの、また増加傾向にあります。東京大学の統計資料によると、東京大学へ留学する外国人が4,600人を突破したという数字が出ています。(令和4年5月時点) 中でも、中国からの留学生はその半数を占めているようです。

外国人留学生は日本でアルバイトをする人も多く、人手不足の今様々な職場で外国人留学生のあるアルバイトが重宝されています。中でも、中国人留学生のアルバイトを探している企業は多くあります。

外国人留学生のアルバイト先は、業界、業種を問わず多岐に渡ります。外国人留学生がもつ「資格外活動」ビザには、風俗営業等を除き、仕事や働く時間帯などに制限はありません。

多くの企業が、外国人留学生をアルバイトとして受け入れることができます。しかし、外国人留学生、中でも中国人留学生をアルバイトとして募集・採用する時には、注意点がいくつかありますので見ていきましょう。

「就労資格」と「滞在許可内」であるかを確認する

中国人留学生や外国人留学生をアルバイトとして雇う際は、確認事項があることを知っておきましょう。

きちんと確認を行わないままにアルバイトとして雇うと、不法就労となります。場合によっては企業側が不法就労助長罪という罪に問われてしまいますので、気をつけましょう。

・就労資格があるかを確認する

外国人留学生の場合は、入国管理局から資格外活動許可を得ているか、しっかりと確認しなければなりません。

アルバイトとして採用したい外国人留学生が資格外活動許可を持っていない場合、入国管理局に許可を申請します。申請後、許可が得られるまでの間、アルバイトとして雇うことはできませんので注意してください。

・「パスポート」と「在留カード」を持参してもらう

就労資格の確認をするには、外国人留学生にパスポートと在留カードを持参してもらいます。(資格外許可書での確認も可能です)パスポートに資格外活動許可認印シールが貼られているかどうかを確認します。

「在留カード」にはいくつかのチェックポイントがあります。

1.在留カード在留資格が「留学」になっているでしょうか? しっかりチェックしてください。

2.「資格外活動許可欄」に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載があるかどうかを確認してください。資格外活動許可にも期限が定められているのでそれもチェックしましょう。

3.外国人留学生の滞在期間が過ぎていないかどうかについても、確認してください。

確認した後は、パスポート、在留化カード共に必ずコピーをとっておくことを忘れないようにしましょう。在留カードの確認は最優先ですので、重要事項と考えてください。

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留学生アルバイト労働条件

中国人留学生に限らず、外国人留学生がアルバイトする際は、日本人アルバイト・パートと同じ労働条件が認められています。

「最低賃金法」「労働基準法」「労働安全衛生法」「労働者災害補償保険法等の法律」などが適用となります。

また、外国人留学生の場合は労働時間に制限があり、1週間のアルバイト時間は28時間以内と定められていることにも注意してください。尚、夏休みなど、長期の休暇中は1日8時間の労働時間が認められています。

外国人留学生をアルバイトとして雇用する際は、労働条件の通知書や、雇用契約書を作成し取り交わすことを忘れずに行いましょう。

外国人留学生に対して曖昧な取り決めは厳禁です。後々「言った」「言わない」とトラブルの元にならないよう、お互いの取り決めを正しく共有するようにしてください。

  社会保険・労働保険について

外国人留学生をアルバイトで雇う際は、社会保険や労働保険への加入も日本人と同じように適用されます。

外国人留学生がアルバイト中にケガや病気になったという場合には、手続きをし、本人は労災保険の補償給付を受けることもできます。

賃金・有給休暇・年末調整について

外国人留学生には、「最低賃金法」「労働基準法」「労働安全衛生法」「労働者災害補償保険法」などの法律が日本人アルバイト・パートと同じように適用されます。

国籍による労働条件の差別は禁止されていますので、注意してください。外国人留学生なら安く雇用できる、というような誤解がありますが、最低賃金法は日本人と同様に適用されますので、守らなければなりません。

外国人留学生をアルバイトとして募集する場合も、国籍を指定した求人を出すことはできないことになっていますが、その際、語学力などのスキルを問うことは可能です。

ほかには、日本人同様に外国人留学生に有給休暇をきちんと与えることも必要になります。

外国人留学生が1年以上日本に住む見込みがある場合は、国籍に関わらず年末調整の対象となり、日本人と同じように年末調整を行います。

[参照]厚生労働省:外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針

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所得税・住民税・源泉徴収について

所得税・住民税

外国人留学生も、所得税と住民税を払う義務があります。日本人と同様に、毎月の給与から天引きします。

ただし、外国人留学生は所得税が免除または減額される場合があります。こちらは雇用主が税務署に届け出を提出しなければなりませんので、企業側にも配慮が求められます。

租税条約を結んでいる国との取り決めなので、該当しない国もありますが、中国人留学生は対象となります。

外国人留学生といっても、所得税の免除や減額の対象となるのは大学生だけ。専門学校や日本語学校は対象外ですので、注意してください。中国人留学生が大学に通っているケースでは、所得税が全額免除となります。

ちなみに、この免除を受けたい時には、最初の給料日の前日までに税務署へ届けを出さなくてはなりません。その際は、在学証明書を添付します。

源泉徴収

外国人留学生であっても、滞在予定が一年以上の場合は所得税の年末調整の対象となります。

源泉徴収をする際は、税法で規定する居住者なのか、非居住者なのかの判断が必要になります。

居住者とは、日本での滞在期間が1年以上の居住者のことを指します。留学生を含め1年以上日本国内に住むことが確実な外国人もまた、居住者となります。

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まとめ

日本での労働力不足に伴い、外国人留学生を採用したい企業も増えています。外国人留学生を雇う際には、確認しなければならないポイントや各機関への届け出など、注意すべきことも多いです。

外国人留学生の採用はしたいけれど、具体的なことがよくわからず、まだ実現していない企業の採用担当の方は、本記事を参考にしてくだされば幸いです。