中国人観光客増加の理由!今後必要な対策とは

近年うなぎ登りに増加している中国人観光客。その背景には、ビザ発給の緩和や円安、日本製品への強い信頼などがあるといわれています。今後も中国人観光客の訪日は増え続けると考えられていますが、日本ではどのような対策を講じる必要があるのでしょうか。


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中国人観光客が増加した理由とは?

年々増加する外国人観光客。これには中国人訪日客の増加が大きく関係しているといいます。ではなぜ、ここまで中国人観光客が増えているのでしょうか。

ビザの緩和

中国人観光客が増加している大きな理由のひとつは、中国人に対するビザの発給要緩和にあります。2010年以前は、団体旅行客にのみビザが発給され、個人旅行客へのビザ発給はありませんでした。

また、厳しい収入制限も存在し、一定以上の収入がない中国人へはビザが発給されませんでした。これらの条件が数回にわたって緩和されたことが中国人観光客増加の要因になっているといわれています。

例えば、大手クレジットカード会社のゴールドカードを持っていること、もしくは年収108万円以上であることなどが条件となり、ビザ発給のハードルが低くなりました。

その他にLCC(ローコストキャリア)の台頭も中国人観光客増加の要因とされています。中国の人口のほとんどが所得でいう中間層以下の人々といわれています。

こういった人々が利用できるLCCが登場したことにより、日本旅行が身近になり中国人の訪日が増加したと考えられています。

円安

中国人観光客増加の要因として無視できないのが円安の影響です。一時期に比べると、日本円は約2/3にも下がっており、中国人にとって日本旅行が「お得」に感じられるようになったことが要因といわれています。

日本での宿泊費や交通費に加えて、日本での買い物もこれに含まれるため、いわゆる「爆買い」の大きな要因になっていると考えられます。これは円安の影響により、中国人には日本の商品が非常に安く感じられているということです。

また、日本の商品に対する信頼の厚さも、中国人観光客が増加している要因のひとつです。他の国からの観光客と比較して中国人観光客は、医療品や化粧品、香水などといった、体に直接触れる製品を購入する割合が高いという特徴があるといいます。

中国人観光客はこれらの日用品に対し、高い品質や安全性を求め、日本へ「リピーター」として訪れていると考えられます。

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中国人観光客が多く訪れる時期

1年を通して外国人観光客をよく見かけるようになりましたが、中国人観光客が増えるのはいつ頃なのでしょうか。

夏が多く訪れる

多くの国は夏季に長期休暇を迎えます。各国の学校が6月に卒業式を迎え、思い出や経験として卒業旅行をするために来日客が増えるといわれています。これにもれず、中国人観光客も夏季に多く来日します。

また日本の国花である桜を見るため、春に日本を訪れる中国人も多くいます。4月の前半に「清明節」と呼ばれる祝日があることも、春季の中国人観光客増加を後押ししていると考えられます。

とはいうものの、中国にとって大きなホリデーシーズンである「春節」の期間も、やはり中国人観光客が多く来日する期間です。時期は1月~2月で、「旧正月」とも呼ばれています。

一般的には国内で家族と過ごす人が多いようですが、この休暇を利用して日本への海外旅行を楽しむ人も増えているようです。

多く訪れる場所

中国人観光客が好んで訪れる場所としてあげられる都道府県は、北海道から沖縄まで目的によってさまざまです。また、東京や大阪、京都も根強い人気を誇っています。

まずは北海道。地域によって中国では雪が降らないため、雪景色やスキーなどのウィンタースポーツを楽しみに北海道を訪れる人が多いようです。また、中国国内のファッション雑誌の特集で北海道がロケ地に採用されたという点も、人気の背景にあるそうです。

古き良き日本の風景を残す京都も、中国人観光客に人気の観光地のひとつです。神社仏閣に加え、京料理や芸者さんや舞妓さんといった存在が日本の文化を象徴していると人気のようです。

また、忍者や侍に代表される日本映画の撮影所「太秦映画村」も観光スポットのひとつということです。

そして忘れてはならないのが東京です。初めて日本を訪れる場合は東京を目指すという訪日客も多いようです。日本の食文化からスカイツリーに代表されるモノづくりの技術までを堪能できる大都会東京は、中国人観光客にとっても魅力の大きな都市のようです。

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中国人観光客増加による今後の対応

今後も増加が見込まれている中国人観光客。彼らを受け入れるために日本ではどのような対応が求められているのでしょうか。

無料Wi-Fiの用意

中国人観光客に限らず、訪日外国人にとってスマートフォンでの連絡手段や情報収集を行うために無料Wi-Fiは欠かせないものです。以前は非常に少ないといわれていた日本の無料Wi-Fiですが、現在ではとても改善されているとのことです。

外国人観光客は、空港や飲食店、宿泊施設や商業施設、公共交通機関などで無料Wi-Fiを使用するようです。SNSで観光の情報を得ることが増えた彼らにとって、無料Wi-Fiは情報収集のために不可欠なライフラインのひとつといっても過言ではないかもしれません。

これらの状況を体現するかのように、無料Wi-Fiが使えるお店は来客数が増えるともいわれています。

ポケットWi-Fiの利用も可能ではありますが、ただでさえ荷物が増える旅行先で、ポケットWi-Fiを持ち歩くのは大変です。充電も必要になるため、快適な旅行を考えたときには「不向きである」といえるでしょう。

これらのことから、国際的にはまだまだ不足しているといわれている日本の無料Wi-Fi網をさらに強化していく必要があるといえます。

多言語のコミュニケーション

中国人観光客を含め、外国人観光客が増えると必要になるのが多言語のコミュニケーションです。日本を訪れた外国人が不便を感じるものとして「言語の壁」をあげるように、言語は高いハードルになるようです。

比較的取り入れやすい対応策として、飲食店なら複数言語で書かれたメニューの作成や、翻訳機能のついたタブレット端末の用意などがあります。しかし、これらでは文化の違いまで埋めることはできず、トラブルを回避することが難しいと考えられます。

言語の壁を乗り越え、文化の違いもクリアする方法として、中国人の従業員を導入するという方法もあります。

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まとめ

今後も増加が期待されている中国人観光客。ビザ発給の緩和やLCCの台頭、安心・安全な日本製品の需要などでこの状況はしばらく続くと考えられます。

スマートフォンで情報収集を行う外国人観光客にとって重要な無料Wi-Fiの整備や、情報の多言語コミュニケーション化など、貴重な休暇を利用して日本を訪れてくれる中国人観光客が存分に旅行を楽しめるよう、受け入れ態勢を整えるために様々な対応が必要とされます。