中国人労働者を選ぶ際の着目点と、日本で受け入れが増加した要因

少子高齢化に伴って、日本の労働者不足が深刻化しています。AI(人工知能)の発達などにより、人手が要らなくなる職業も一部ありますが、まだまだ、どこの企業でも労働力を必要としているのが現状でしょう。 一方、日本で働く外国人労働者の数も増え続けています。中でも、一番割合が多い中国人労働者を採用したいと考える企業は大手を中心に多いようです。 彼らを採用するにあたり、受け入れる側にはどんな課題があるでしょうか? また、中国人労働者の受け入れが増加した要因はどこにあるのかを確認しておきましょう。


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中国人労働者を選ぶときに着目すべき点

中国人労働者を選ぶときには、採用する側も専門的な知識が不可欠となります。就労に必要となるビザのこと、日中の文化の違い、保険や税金のことなど、しっかりと把握しておかなければなりません。

採用後は、受け入れ体制を整える必要も出てきます。中国人労働者を選ぶ際は、先々のことまで考えておきましょう。日本語があまり上手くない、というような場合には、職場でのコミュニケーションをどの様にしてとるかなども配慮すべきでしょう。

中国人労働者を選ぶときの基本事項

中国人労働者を選ぶには、基本的なチェックポイントがあります。

・実績があるかどうか

中国人を労働者として採用する際に重要なのは、過去の実績です。日本語力に多少の難があったとしても、これまでに勤めてきた仕事の実績があり、採用したい職種とマッチしていれば企業の戦力となってくれるでしょう。

しかし、面接などの際には、注意しなければならない点があります。日本人と違い、中国人は自己顕示欲の高さから事実を誇張する傾向があります。職務履歴書の記載内容が事実かどうか、しっかりと確認することも重要となります。

・業種の得意・不得意を見極める

中国人の中には、日本語力を生かした仕事をしたいと考える人もいれば、IT系の企業で働きたいと考える人もいます。

中国人労働者を選ぶときには、本人がどのような業種を希望していて、どのような業種は不得意なのかを見極める必要があります。単に流暢に日本語を話すから、などの理由で採用を急いでしまうと、互いに利益を損なう結果となってしまいます。

定年志向が根強く、一度採用された企業で長く働くのが当然、と考える日本人と比べ、転職はキャリアアップのためと仕事を辞めてしまう中国人は多い傾向にあるため、慎重に見極めてください。

・中国人の特性を理解する

中国人が日本語を日常生活に支障のがないレベルで話すからといって、日本のことを深く理解し、完全に日本人の様な考え方まで身に付けている、とは考えないようにしましょう。

個人差はありますが、中国人にはやはり中国人ならではの特性があります。中国人は全体的に自分に自信を持っており、その分頑固な側面も見られます。

物事を曖昧なままにしておくのを嫌い、ストレートな表現で意見を言うことも多いでしょう。反面、身近な人に対してはフレンドリーな特性も持っています。中国人労働者を選ぶときは、このような特性を理解した上で選考を行いましょう。

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日本企業における外国人労働者の状況について

日本における外国人労働者数は1,278,670人に達しています。前年同期比で194,901人(18.0%)増加し、過去最高を更新しています。

増加の大きな理由は、少子高齢化による労働者不足です。将来的に子どもが増える見込みもないため、今後ますます労働者不足は深刻化すると言ってもよいでしょう。

現在、外国人労働者を受け入れる事業所は約19万5000カ所あり、そのうち製造業の職につく割合は3割弱に及んでいます。

今後、ますます拡大する人手不足を補う救世主として、中国人労働者への期待は高まっています。

[参照]厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成 29 年 10 月末現在)

外国人労働者が日本で増加した要因

日本で外国人労働者が増加したのは、さまざまな受け入れ体制が整いつつあることも、その要因となっています。

・政府の推進によるもの

少子高齢化が進み、国内の人材のみによる労働者不足解消には限界があるため、日本政府は外国人材や留学生の受け入れを推進しています。

人口が増える展望がない中では、外国人労働者の受け入れ拡大傾向が、この先縮小されるとは極めて考えにくいでしょう。

外国人労働者の受け入れを拡大していきながら、業務の現場では文化の違いや、言葉の壁などを踏まえた調整を行っていくことが、ますます求められています。

・永住者や日本人の配偶者が増えている

外国人労働者をとりまく雇用情勢の改善は着実に進んでいます。

現在は、日本で永住権を取得した「永住者」や、日本人と結婚した「日本人の配偶者」等の身分を得ている中国人労働者も増えている傾向にあります。

それに伴い、これらの在留資格による就労をする中国人労働者も増えています。永住者や、日本人の配偶者である中国人には、日本国内における活動の制限は一切ありません。希望するどんな仕事にでも就くことができ、転職も自由です。

・ 技能実習制度の活用が進んでいる

技能実習制度とは、外国人に対して報酬を伴う技能実習や研修を行う制度です。外国人労働者増加の背景には、技能実習制度の活用があるとも考えられます。

現在、劣悪な環境などの問題点や課題も指摘されている制度ではあります。しかし、日本の労働者不足を補うにあたり、これまでの問題を解決していきながら、技能実習制度の改善を図っていく姿勢も求められているでしょう。

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中国人労働者の派遣・請負状況について

日本で外国人労働者を雇用している事業所の中で、労働者派遣や請負を行う事業所は17,312カ所あり、前年比で923カ所も増加しています。

また、労働者派遣や請負を行う事業所に就労している外国人労働者の数は273,648人です。

外国人労働者全体の中では、21.4%に及び、外国人労働者を国籍別に見てみると、中国人が最も多く、372,263人となっています。外国人労働者全体の29.1%を占めていますので、外国人労働者の中でも、中国人は戦力として期待されていることがうかがえますね。

[参照]厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成 29 年 10 月末現在)

中国労働者の産業別の状況

中国人労働者の中で、最も多い職種は製造業で外国人労働者全体の30.2%。これは、外国人を採用している事業所全体の中で、22.2%を占めています。

職種における製造業従事者の割合は、前年に比べると減少してはいるものの、建築業やサービス業に就く外国人労働者の数は増加傾向にあります。

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まとめ

日本側の受け入れ態勢を整える施策の推進などにより、外国人労働者の数は増加し続けています。中でも最も人数が多く、外国人労働者数全体の3割を占めている中国人労働者。人手不足に悩む企業にとって、彼らはぜひ採用してみたい人材ではないでしょうか。

働くことが好きな傾向にある中国人労働者は、ハングリー精神も強く、熱心に業務に励む人が多いです。そのため、採用した企業の満足度も高い傾向にあります。

中国人労働者を採用したいと考える企業は多いですが、必要となるビザや税金のことなど、雇用する際の確認事項も多く、実際に採用にいたるまでには、悩みや迷いがつきものです。中国人労働者を受け入れるにはどのような課題があるのか、しっかりと把握してから検討しましょう。

中国人労働者を選ぶ際には、就労実績や得意な業種、特性についてよく把握し、後で想定外の出来事が生じない様に採用を進めるようにしてくださいね。